ふらっと立ち寄ったコーヒースタンドで感じた「旅はいつでもどこでも出来るぞ」という話

この連載は、しんいちさんが、会社員として働きながらも、物を減らしリュック1つを背負って、旅するように暮らす日々を綴ります。

▼前回までの記事ピックアップ
vol.1:会社員が多拠点生活を始めたら、旅・仕事・生活が融合して「これ最高かも」と思っている話。
vol2:会社員生活と多拠点生活は両立できる?!僕がADDressを選んだ理由。

滞在先でまた訪れたくなる場所が見つかると嬉しいものである。今回は京都滞在中にふらっと立ち寄ったお店が、また訪れたい場所になった出来事を書いてみる。

10月初旬、京都のADDress拠点「We Base京都(ウィーベースキョウト)」に滞在した。
1階のラウンジには本棚があって、アートや旅行に関する本を約1000冊も取り揃えていた。京都の本も置いてあってコーヒーを飲みながら歩いて行けそうなスポットを探していると、ここから10分で行けるお店を見つけたので、散歩がてら立ち寄ることにした。

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▲We Base京都の外観

もくじ

目次

  1. 実はスープが美味しかったコーヒー屋さん
  2. 偶然がつなぐ出会い
  3. 身近な場所での出会いも旅になる

実はスープが美味しかったコーヒー屋さん

向かった先は、「wanderers stand(ワンダラーズスタンド)」だ。
五条西洞院の交差点からワンブロック南にいったところにお店はあった。

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▲コーヒーのイラストの看板が目印

トリミング

▲お店の外観。外でのんびり過ごすのも良さそう。

コーヒーとトーストが売りのお店で、コーヒーを頼もうかと思ったが今日はすでに2杯飲んでいたので、別のものを注文しようとメニューを見ると「ひよこ豆とオーツ麦のスープ」が目にとまった。スープであったまるのも良いかもと思い、スープに合いそうなパンも一緒に注文した。

お会計を済まし、入口付近のカウンターに座ってスープが出来上がるのを待つ。

その間、店主が調理している姿を眺めていた。次々とテンポよく料理が出来あがっていく。牛乳を浸した食パンを鉄板で焼き、ホットドックはコッペパンを使わず食パンにソーセージを挟んでいた。他人が頼んだ料理を眺め、『あ、そっちを頼めば良かったかも』と思うのも楽しい。

そんなことを考えている間に、スープとパンが届いた。

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▲注文したスープとパン(パンの中身は確かハムとクリームチーズ)


一口飲むと、口当たりが滑らかでとっても美味しい。ひよこ豆のフムスをスープにしたようなトルコ料理を感じさせる味付け。ただ、不思議とどこかで飲んだような懐かしい感じもあり、心が癒される。

スープをもっとお店のオススメとしてアピールしても良いのでは?と思うくらい想像以上に美味しかった。一度にこの美味しさが消えてしまうのがもったいなくて、丁寧に味わいながら店内をぼーっと見渡すと、壁に掛かっていた雑誌の記事に気が付いた。

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▲壁に貼られていた雑誌の記事

偶然がつなぐ出会い

記事には店主がこのお店で働くまでのストーリーが綴られていた。読むと彼は僕の母の実家の近くにある金沢市の近江町市場でお店を営んでいたというではないか。すると急に親近感がわき、スープが美味しかったということを伝えようと、思い切って声をかけてみた。

「スープ美味しいですね!」

その一言で物静かで真剣な顔していた彼の表情がぱっと変わった。

「スープはいち押しなんだけど、全然売れないんだよ。」
笑顔を浮かべながら嬉しそうに話をしてくれた。
確かに看板にもコーヒーとトーストとしか書いてなかった。SNSにもパン屋として紹介されていて、お客さんはスープの存在さえ知らないのだろう。
「こんなに美味しいスープ、もっともっと知ってもらいたいですね。」と言うと更に店主がにっこりして自分も何だか嬉しくなった。


店主の笑顔で会話が弾み、壁の記事のことを切り出してみた。
金沢のお店と母の実家が近いことを伝えると、嬉しそうな表情で返してくれた。京都のお店で、母の実家があった金沢が話題になるとは。偶然訪れた場所で共通の街に縁があるという事を知り、初対面なのに心の距離が縮まった気がした。

すると今度は店主が、お店のコーヒーの話をしてくれた。お店で使っているのは東京にある「Little Nap COFFE STAND(リトルナップコーヒースタンド)」のコーヒー豆とのこと。
これまた偶然!僕が東京にいた頃、何度か立ち寄ったことのあるお店だった。

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▲Little Nap COFFE STAND(リトルナップコーヒースタンド)代々木公園をランニングして休憩場所にこの店のコーヒーを飲んだ思い出が懐かしい。

ふらっと立ち寄ったお店は料理の味だけでなく、
過去に出していたお店と母の実家がとても近かったという事や、
使っているコーヒー豆は僕も行ったことのあるお店のものだったりと思わぬ共通点がみつかって、とてもいい時間を過ごせた。もの静かそうだった店主は、実は話好きだったことも分かったので、またここに来ておしゃべりしたい。

身近な場所での出会いも旅になる

世の中が落ち着くまでは、前みたいに世界中を自由に訪れるのは難しいかもしれない。でも、僕にとっての旅はいつも過ごしている街や家の近くの場所でまた行きたくなるお店や人と出会うことなのかもしれない。

また行きたくなる場所を探す旅は、思い立った時に(何なら徒歩でも!)簡単に出来る。さて、今日はどんな旅が出来るかな。

旅路は続く。

しんいち : プロフィール

しんいち:石井慎一
埼玉県入間市出身。社会人から16年を東京で過ごし、離婚や大阪転勤を機に自分の暮らし方を考えるようになる。現在は会社員として人事系サービス企業で大阪支店長の職を担いつつ、全国に拠点のあるADDressを利用し、「旅するように働く、暮らす」を実現している。
・まなびやアカデミー認定マインドフルネストレーナー
・産業カウンセラー

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しんいちさんの多拠点ミニマルライフ・ヒストリー
2018年10月
38歳でバツイチ確定後、シェアハウスに転居。当初持っていたのは、掃除機と電気ケトルと服だけ。
2019年6月
大阪転勤を期に、一人暮らしをスタート。家具・家電などが増える。
2020年4月
緊急事態宣言で在宅勤務になり、快適さを追求したくなり、高城剛氏の「LIFE PACKING」から物を減らすことに興味を持ち、「スーツケース一つで生活する」を目指し始める。
2021年1月
一人暮らしのマンションを手放しCoリビングサービス「Address」を契約。多拠点生活を開始。Addressを利用していない時は、間借りしている大阪のスペースで生活している。現在の所持品はスーツケース2つ分。

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