この連載は、しんいちさんが、会社員として働きながらも、物を減らしリュック1つを背負って、旅するように暮らす日々を綴ります
僕は現在、41歳独身。人事系サービス企業の会社員として働きながら、”ADDress”という日本各地の非定住型シェアハウスに定額で滞在できるサービスを利用し、月の3分の2は多拠点生活をしている。
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“多拠点生活”と聞くと、起業家や不労所得で生活している人など、時間や場所の制約を受けない人だからできる、と思われる方もいるだろう(僕の勝手なイメージかもしれないが)。
今回は、私の生活の拠点になっている”ADDress”に住むことになったキッカケや、会社員生活と多拠点生活をどう両立しているのか、結果どうなったかを書いてみる。
突然の在宅勤務スタートで、オンオフの切り替えに戸惑う
2020年4月、大阪の緊急事態宣言を受けて、会社からフル在宅勤務を言い渡された。
営業先企業との商談の大半はオンラインに切り替わっていったが、一部、来社を希望されるお客様もいた。宿泊をともなう出張承認の煩雑さや予算の問題で、先方が希望しても電話で済ませてしまうことも多く、機会損失を生んでいることも気になっていた。オンラインか対面か、お客様が自由に選択して、自分がそれに合わせる営業スタイルが理想的だと考えるようになった。
自分の仕事環境としては、今までくつろいたり楽しんだりする目的だった一人暮らしの31平米のワンルームが仕事場に変わり、オンオフの切り替えに戸惑った。
▲一人暮らしをしていたワンルームマンション
多拠点生活の可能性を探り始める
そこで思い出したのが、“ハイパーメディアクリエイター”の高城剛さんの「LIFE PACKING」という本だ。高城さんはスーツケース1つ分の荷物で世界を飛び回りながら仕事をしている。この本では、そのために厳選したグッズや、そこに至った考え方などが書いてあある。数年前に初めてこの本を読んだ時は、旅と仕事が一体化しているライフスタイルに憧れは抱いたものの、平日出社義務がある自分とは別世界の話だと思っていた。
それがコロナ禍で在宅勤務が始まり、改めてこの本を読み返して「通信環境さえ整えば、自分も旅するように働くことができるのでは?」と思うようになった。
そして2021年9月に「スーツケースひとつで生活する!」とFacebookで宣言して、今持っているものを手放し、家電と寝具以外の持ち物をスーツケース一つ分に減らすことをを始めた。この過程はまた別で書きたい。
▲宣言した時の投稿
モノを減らす要領も掴めてきた2020年の12月頃、”ADDress”100拠点達成の記事で、僕の営業エリアである西日本にも拠点が増えたことを知った。
もともとADDressのことは「空き家問題を解決したい」というビジョンに共感し、クラウドファンディングで応援していたこともあり、いつか利用したいと思っていたサービスだった。
賃貸契約ができることが決め手でADDressに決定
これをきっかけに多拠点生活の可能性を検討し出したものの、HafH(ハフ)など他の類似サービスも比較検討した。最終的にADDressにしたのは、よりリモートワークがしやすい環境であることと、賃貸契約だということだ。
社内ミーティングや、オンライン商談が多い自分には、個室があるかどうかが重要だ。ADDressはWi-Fi完備はもちろん、9割の拠点で個室が利用でき、個室には机と椅子がある。共有スペースがメインの他サービスに比べて、リモートワークがしやすい環境が整っていた。
また、ADDressは賃貸契約となることも決め手になった。賃貸契約の場合、会社から家賃補助が出るので、一人暮らしのマンションを解約してADDressに切替えても、住宅補助が継続される。この経済的メリットは、かなり大きい。
▲ADDress 淡路邸の個室。部屋の中から見える緑に癒される。
ADDressのデメリット3つ
今のところ順調にADDressライフを楽しめているのだが、デメリットと感じている部分は下記の3つだ。
1.最大予約可能日数が14日分なので、数ヶ月先の営業アポが入った場合に予約を入れてしまうと直近の滞在予約が入れられなくなる。でも直前に予約すると空いていない可能性もあるので、その調整がわずらわしい。
2.ADDressのルール上、同一の家の連続予約は7日間なので、長期間滞在したい場合も移動しなければならない。
3.今後利用者が増えた場合に人気のある拠点の予約が困難にならないか?という心配がある。
どんなサービスにもデメリットはあるが、そこまで深刻ではないので、調整の仕方の最適な方法を自分でも色々試してみようと思う。
結果、自分も皆もハッピーになった
半年間ADDress生活をしてみた感想を一言で言うと、自分、顧客、会社の三方よし(笑)で、皆ハッピーだ。
自分:家賃の差額・水道光熱費で月3万円支出が減り、浮いたお金を出張先での個人的な移動費にあて、その土地土地を楽しんでいる。トンボ帰りの必要がなくなり、体力的・精神的にも楽になった。営業成績もまずまず☺︎
顧客:顧客の希望に合わせて訪問でき、滞在先でのスケジュールに余裕が生まれたため訪問件数も増え、顧客とのリレーションが強くなった。
会社:出張宿泊費が削減できて社長も喜んでいる(笑)
▲もともとスーツが好きでブランドスーツも持っていたが、今はシワがつきにくいジャージ素材のファクトリエのスーツが出張時の最適解。
昨年の緊急事態宣言で突然の在宅勤務から、一時は戸惑うこともあったが、今はADDressというサービスに出会って、この状況を楽しめている。今後も情勢の変化によっては、この形を続けられるのか分からないが、それも含めてしなやかに暮らしを変化させていく、それも楽しみだ。
旅路は続く。
しんいち : プロフィール
しんいち:石井慎一
埼玉県入間市出身。社会人から16年を東京で過ごし、離婚や大阪転勤を機に自分の暮らし方を考えるようになる。現在は会社員として人事系サービス企業で大阪支店長の職を担いつつ、全国に拠点のあるADDressを利用し、「旅するように働く、暮らす」を実現している。・まなびやアカデミー認定マインドフルネストレーナー
・産業カウンセラー
しんいちさんの多拠点ミニマルライフ・ヒストリー
2018年10月
38歳でバツイチ確定後、シェアハウスに転居。当初持っていたのは、掃除機と電気ケトルと服だけ。
2019年6月
大阪転勤を期に、一人暮らしをスタート。家具・家電などが増える。
2020年4月
緊急事態宣言で在宅勤務になり、快適さを追求したくなり、高城剛氏の「LIFE PACKING」から物を減らすことに興味を持ち、「スーツケース一つで生活する」を目指し始める。
2021年1月
一人暮らしのマンションを手放しCoリビングサービス「Address」を契約。多拠点生活を開始。Addressを利用していない時は、間借りしている大阪のスペースで生活している。現在の所持品はスーツケース2つ分。