この連載は、しんいちさんが、会社員として働きながらも、物を減らしリュック1つを背負って、旅するように暮らす日々を綴ります
▼前回までの記事
vol.1:会社員が多拠点生活を始めたら、旅・仕事・生活が融合して「これ最高かも」と思っている話。
vol2:会社員生活と多拠点生活は両立できる?!僕がADDressを選んだ理由。
多拠点住み放題サービスであるADDress(アドレス)を利用していると、これまで選択肢になかった場所に滞在して、旅を満喫している事に気付いた。
今回は、滞在先を選ぶ時に感じていた事や、滞在先の選択肢が増えた理由について書いてみたいと思う。
ADDressの家の選択肢は多いようで少ない
ADDressで利用できる家の数は2021年1月時点で120以上ある。しかし、拠点は首都圏ー特に東京、千葉、神奈川ーに集中していて、僕の出張先である四国や九州等は1県に1~2拠点しかない。必ずしも目的地の近くに家があるとは限らないし、たとえ目的地の近くの家があったとしても予約が埋まっていれば滞在は出来ない。
消去法で選んだ拠点。ピンとこないまま去ることも
2021年5月に芦ノ湖へいく予定があったので、神奈川県で滞在先を探してみた。大阪からアクセスが良い小田原は予約で一杯だったので、まだ行った事がなく予約可能だった鶴巻温泉Bを滞在先に選んだ。
日中は外出せず仕事をしていたこともあり、鶴巻温泉の町の魅力を感じることが出来ないまま後にした。駅から家までの道が険しかった事と、お風呂の排水が良くなかった事だけが思い出に残っている。
▲唯一写真に残した鶴巻温泉Bの家の部屋。
ふらっと訪れた南あわじ市は魅力だらけだった
2021年6月、淡路島に滞在した。南あわじ市はADDressで初めて知った(南あわじ市の皆様すみません)。淡路島に行くのであれば、大阪から近く観光施設も多い淡路市しか行ったことがなかった。しかし、南あわじ市は大阪から高速バスを使えば3時間程で行ける。ADDressの家を使う場合は追加料金もかからない。ある時、ぽっかりと顧客訪問の予定がない期間ができたので、気分転換を兼ねて「近くにあるし、せっかくだから」という軽い気持ちで行ってみる事にした。
南あわじ市WEBサイトでは、魅力がこう書かれてある。
慶野松原は、約5万本の淡路黒松が生い茂り、白い砂浜が約2,500mにのびる瀬戸内海でも随一の白砂青松の松原です。昭和3年に国の名勝(文化財)に指定され、昭和30年に瀬戸内海国立公園(自然公園)に指定されました。現在は、「日本の渚百選」、「日本の水浴場88選」、「日本の夕陽百選」に選ばれており、よくTVや映画、雑誌の撮影地に選ばれています。
実際、行ってみると、空と海がとにかく美しかった。
空は、ある時は燃えるような色、ある時は雲一つない青空、と刻々と表情を変えた。
ADDressの家からは徒歩5分で海に出られた。海無し県の埼玉に生まれ育った僕にとっては贅沢すぎた。朝起きたら海へ、昼休みにも海へ、仕事終わりにも海へ・・・滞在中は毎日そうやって過ごした。波の音が心地良く、飽きずにずっといられた。
▲夕陽。この日は燃えるような空の色が美しかった。
▲南あわじ市の家から徒歩5分の慶野松原海水浴場。
お昼休み時間。ブランコ越しの海。
町の魅力も感じることができた。家から歩いて5分ほどのところに、おしゃれな喫茶店や家具屋さんがあった。店主と会話すると偶然どちらの店主も移住してきた方で、思った以上に住みやすい町だったと嬉しそうに語ってくれた。実際にスーパーも、コンビニも家の近くにあり、1週間の滞在期間中、日常生活を送るのに困ることは無かった。
自然の魅力と暮らしやすさを両方味わえる町だった。ADDressに家が無かったら訪れることも無かった町。大阪の近くに、こんな魅力的な場所があったなんて。
▲PATRASCHE(パトラッシュ)という家具屋&カフェ。倉庫をお店に改装していておしゃれだった。
▲Neki (ネキ)額縁と珈琲 額縁屋さんが珈琲を出してくれるというコンセプトのお店。店主がとても優しかった。
追加でお金がかからないから、ふらっと未訪の土地に”散歩”できる
鶴巻温泉も南あわじ市も、ADDressの拠点に滞在するという制約があるから出会えた場所だ。
多拠点住み放題サービスは、旅に出ても出なくても毎月の料金が同じである。どうせなら最大限活用しようという気持ちになる。
それまで知らなかった、知っていても興味がなかった未訪の地も、「お金も掛からないし、せっかくだから行ってみようか」と、ふらっと散歩気分で旅に出られる。
結果、滞在先の選択肢が増えていた事に気付いた。
未訪の地を訪れたとしても、全てが南あわじ市のように感動する場所になるとは限らない。鶴巻温泉のように、町の魅力を発見できないまま次の滞在先に移動してしまうこともある。
でも、感動の有無によって、その場所を選んだことの成功、失敗が決まるわけではない。
自然が奏でる音を聴いたり、風景を眺めて癒されたり、出会った人の雰囲気や、その土地が醸し出している空気を直接感じることが旅の醍醐味だ。
ピンとこなかった鶴巻温泉では時間が取れず、それができなかった。またリベンジしたい。
まだまだ行ったことの無い家は沢山ある。拠点数も増えていく予定だ。次はどんな場所で、どんなことを感じるのか想像すると、ワクワクが止まらないのである。
旅路は続く。
しんいち : プロフィール
しんいち:石井慎一
埼玉県入間市出身。社会人から16年を東京で過ごし、離婚や大阪転勤を機に自分の暮らし方を考えるようになる。現在は会社員として人事系サービス企業で大阪支店長の職を担いつつ、全国に拠点のあるADDressを利用し、「旅するように働く」を実現している。
・まなびやアカデミー認定マインドフルネストレーナー
・産業カウンセラー
Instagram:https://www.instagram.com/ishii_shinichi/
しんいちさんの多拠点ミニマルライフ・ヒストリー
2018年10月
38歳でバツイチ確定後、シェアハウスに転居。当初持っていたのは、掃除機と電気ケトルと服だけ。
2019年6月
大阪転勤を期に、一人暮らしをスタート。家具・家電などが増える。
2020年4月
緊急事態宣言で在宅勤務になり、快適さを追求したくなり、高城剛氏の「LIFE PACKING」から物を減らすことに興味を持ち、「スーツケース一つで生活する」を目指し始める。
2021年1月
一人暮らしのマンションを手放しCoリビングサービス「Address」を契約。多拠点生活を開始。Addressを利用していない時は、間借りしている大阪のスペースで生活している。現在の所持品はスーツケース2つ分。