東京を離れて実現したマインドフルでウェルビーイングな島暮らし-鳥谷部大樹-
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東京を離れて実現したマインドフルでウェルビーイングな島暮らし-鳥谷部大樹-

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この記事は、12/1〜25まで、毎日1人ずつマインドフルネスを実践している方が「私の日常にあるマインドフルネス」をテーマにリレー形式で綴る、マインドフルネス・アドベントカレンダー2021の記事です。
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アドベントカレンダー5日目は、沖縄県久米島で暮らす鳥谷部から「私の日常にあるマインドフルネス」を7つご紹介いたします。

ライフスタイルを大変革。品川から沖縄県久米島へ移住

2019年11月、住み慣れた東京品川を離れ、沖縄県の離島、久米島に移住することを家族で決めました。

すべてがある東京の便利さを手放してでも、豊かな自然の中で伸び伸びと丁寧に生きる。それが私たち家族のより幸せな暮らしのための最善の選択だと考えたからです。

久米島は東京からおよそ1600km、沖縄本島からは西方向へおよそ100kmのところにある島全体が県立の自然公園に指定されているたいへん美しい島です。

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那覇で乗り継いだプロペラ機はあっという間に着陸態勢に入り、わずか30分ほどで久米島に到着します。

2020年3月25日、そんな島に、家族5人で移住してきました。家族全員にとって、これが久米島への初上陸でもありました。

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徒歩で品川駅や大崎駅に行けるような賑やかな住環境から一変、久米島の中でも特に人口の少ない、バナナやサトウキビ、パイナップル畑に囲まれた集落で新生活を始めました。

ちなみに、仕事は幸いにもこれまで通り東京本社に所属する総合職のまま、自宅オフィスからリモートワークをしています。

大自然との境界を感じない暮らし

Googleアースでしか見たことがない住まいに私たちが到着したちょうどそのとき、初対面の大家さんが植木の裁断をして庭を整えてくれているところでした。

こんもり積まれた枝葉を見ると、この庭にも緑が生い茂ることが想像できました。切り落とされたばかりの月桃の葉の束からは甘い香りが漂い、そこかしこから美しい鳥の囀りが聞こえ、何匹もの蝶が舞っていました。

お向かいさんの玄関先では桃の木に実がなり、お隣さんの庭からは生垣を越えて傾いたバナナの木が大きな葉をこちら側に広げていました。屋上からはキラキラと輝く東シナ海を見渡すことができます。

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長方形平屋の我が家は4辺のほとんどが大きな窓のため、窓も網戸も開けると住まいと大自然の境界がなくなってしまったような開放感を感じることができます。

住まいがどこまでも広がっていくような感覚でもあり、自然が住まいの中に入り込んでくるような感覚でもあり、両者が一体に近づいていくように感じます。それがとても自由で豊かな気持ちにさせてくれます。

【私の日常にあるマインドフルネス①】窓辺でひと呼吸するときはいつでも。

美しい自然に囲まれた日常

東京ではコンビニまで30秒もかかりませんでしたが、こちらでは牛乳一本を買うためにも車で山道を下りるようになりました。妻は移住のために免許をとり、車すらも久米島に来て初めて所有することになりました。

たしかに変化は大きいものですが、生活には不自由さも不便さも感じません。むしろ、山道の往復で目にする毎日の景色があまりにも美しいため、移動に喜びすら感じています。

久米島には山の上と下をつなぐ「てぃーだ橋」「つむぎ橋」という長い坂道があります。てぃーだ橋は、山から下りてくるとき、道が海のほうに向かって直進し、海に沿うような形で右方向にカーブを描いています。そのため、てぃーだ橋を下るときはいつもでも、美しい海に飛び込んでいくような迫力を楽しめます。

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加えて、てぃーだ橋からは久米島の人気観光名所「はての浜」を一望することもできます。はての浜は、久米島の東側の沖合に浮かぶ、エメラルドグリーンの海に囲まれた全長約7㎞の真っ白い砂浜です。はての浜の美しさに、私たちはたいてい速度を落として、見惚れてしまいます。

帰り道はバックミラーとサイドミラーにその景色を収めつつ、ゆっくりと山道を登ります。

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久米島で生活をするようになり美しい自然に囲まれた日常生活は喜びだと知りました。ハネムーン効果なのだろうとかと考えてみることもありますが、1年以上そのような暮らしをし続けてもなお、その気持ちは変わりません。

【私の日常にあるマインドフルネス②】美しい自然をドライブするとき。

減ったのは、情報量ではなくてノイズ量

久米島への移住前、仕事関係者からは「情報が減りそうですね」と心配していただいたものの、生活を始めてわかったのは、その点あまり困ることはないということです。

むしろ、着目するべきは、情報量ではなくノイズ量の変化です。久米島への移住を通して明らかに減ったと思うものは、情報ではなくノイズでした。そして日を重ねるごとに、目にも耳にもノイズが少ない静かな暮らしというものは、こうも幸せで、こうも落ち着いていて、こうも生活や仕事をはかどらせるものかと驚いています。

毎日、何を見て、何を聞いて、何を感じるのか、言い換えれば、何を見ないで、何を聞かないで、何を感じないか、その体験の積み重ねは心身の状態(ウェルビーイング)に明らかに影響しています。

ここで日常的に聞こえるのは、美しい鳥の鳴き声です。軒先やお向かいさんの庭の桃の木には、黄緑色のかわいらしいリュウキュウメジロや藍色のイソヒヨドリを見つけることができます。その向こうの山からも様々な鳥の鳴き声が重なるように聞こえてきます。

【私の日常にあるマインドフルネス③】仕事中、鳥の囀りに耳を澄ますとき。

増えたのは、考えることよりも感じること

久米島での暮らしは、美しいものに出会う連続です。気がつくと、美しいものを探し、見つけた美しさに感じ入っている自分たちに気がつきます。空も海も広々とした畑も、こちらが彼らの美しさと出会おうとするならば、存分に美しさをあらわしてくれます。

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私たちの長年の東京での暮らしは、「常にあれこれ思考している状態」だったように思います。一方、久米島での生活で私たちの「今この瞬間を感じる力」はどんどん活性化していきました。

人間は考えることをやめられません。とは言え、それは人間の限定的・部分的な営みでしかありません。「今この瞬間を感じる」ことも大切にすることができるならば、以前よりも、世界に美しさを見出すことができるでしょう。そこにある痛みさえも。

【私の日常にあるマインドフルネス④】世界の美しさや痛みに出会うとき

覚えたのは、もっとがんばることではなくゆるむこと

久米島でできた友人たちの生き方や働き方からも様々な影響を受けています。なかでも久米島で本格的な南インドカレーを提供する移動式のカレー屋「アイランドカレー」を運営するおふたりの存在感は、啓発的なものでした。

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都会的なサービス業のものさしで言えば「お客さんを待たせない」のが原則かもしれません。しかし、彼らは、レゲエの音楽にあわせて肩や首でリズムを刻みながら、マイペースに盛り付けます。レゲエのリズムに恍惚としている瞬間、盛り付けの手も皿も空中で止まってしまうことがあります。それを見ている方まで、なんだか不思議と力が抜けて、楽しくなってきます。

彼らは「息つく暇もなく飛ぶようにカレーが売れていく忙しさよりも、踊りながら売れるくらいのペースが自分たちにとって幸せだ」と言います。カレーが生み出される一瞬一瞬のプロセスを全身で楽しんでいるのです。まさにマインドフルな在り方なのです。そして差し出されるカレーは、見た目も美しく、とてもおいしい。

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畑の向こうにエメラルドグリーンの海を眺めながら、陽気なふたりのカレーをいただくとき、ふと思うのは、彼らのように「今を十分に味わえるゆるさ」は大切だなあということです。

「ちゃんと」や「もっとがんばる」も素晴らしい生き方・働き方だと思いますが、それだけが全てではないし、「ちゃんと」や「もっとがんばる」によって遠ざけられうる幸せもあるように思います。

久米島に住みながら東京の企業に勤める私には、どうしても「ちゃんと」や「もっとがんばる」という発想が優位になることがあります。しかし、たとえ束の間でも「今を十分に味わえるゆるさ」は、よき仕事にも、よき人生にも、とても大切なものだと、今では確信しています。

【私の日常にあるマインドフルネス⑤】踊るカレー屋で過ごすとき。

子供の「しあわせ」という寝言

大自然の中で、毎日、子どもたちは湧き上がるエネルギーや創造性を思い切り発揮し、「今日も楽しかった。お腹減った」と言って帰宅します。マインドフルであることを一番知っているのは、子どもなのかもしれません。

ちなみに長女は久米島で四年生に進級し、次女は新一年生となり、三女は初めての保育園に入園しました。二人の通う小学校は全校生徒が10人。長女は全校生徒1000人を超える小学校から転入しました。新一年生は次女を含めて2名でした。

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あるときの次女の一日は、親にとって忘れがたいものとなりました。

その日は校外学習で蛍の棲む川に出かけ、全身びしょびしょになりながらウナギやエビや魚を捕まえて遊びました。

小学校に戻ると「お昼寝しましょうか」という先生のやさしさでエネルギーをチャージ、放課後は学童のお迎えの車を待ちながら地域の人が差し入れてくれたパイナップルをたらふく食べました。

学童では泥遊び、水遊び、カエルやオタマジャクシやヤゴを捕まえ、お腹が空くとスタッフが作ってくれた愛情たっぷりのおやつを食べ、今度は室内で思う存分マンガや本を読みました。

そんな一日を過ごした次女が寝る間際に言った一言を、忘れられません。

「生まれてきてよかった」

その数秒後には、すうすうと寝息を立てていました。

別の日に次女は寝言で「しあわせ」と言っていたこともあります。

いったいどんな夢を見ていたのでしょうか。寝ている口からあふれてしまうほど満たされているのかもしれません。

子どもたちの話を聞き、こんな様子を見ていると、子どもは遊ぶ楽しさや喜びに満たされたとき、自ら人生を肯定し始めるのではないかと思えてきます。

顔が輝く、とは単なる比喩ではなく、思う存分遊んでいる子どもたちを見ていると、本当に顔は輝くものだということがわかります。それはイキイキと命を輝かせていることが伝わる顔つきです。

親の在り方として大切なことは、子どもの中には子ども自身でしか満たせない大きな器があることを知り、子どもが遊びを通じてそれを満たそうとしていること、もっと言えば、子ども自身が知っている自らを幸せにする道を親がジャマしないことかもしれないと考えています。

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【私の日常にあるマインドフルネス⑥】マインドフルに遊んだ子どもの寝顔を見るとき。

古民家から久米島のよき未来を創る

移住してまもなく、久米島にて、Well-Being & Coaching Naogoku,Inc.という会社を夫婦で創りました。そして、2021年10月から島民向けの「Well-Being Coaching トレーニング」をスタートしました。

このトレーニングは、自分の大切な人のwell-beingに貢献するためのコーチングを習得する全6回、2ヶ月にわたるプログラムです。久米島の人たちにwell-beingの知識とコーチングのスキルを伝えることで島の人たちの可能性がどんどん広がっていく未来を創りたいと願い、夫婦でファシリテーションしています。

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夫婦で創った会社による提供なので、いろいろ自由。ということで、このトレーニングは、参加費「無料」正確には「ギフト制」、つまり、お互いに自分にできる何か(お金以外)を贈り合おう、そしてつながろう、という方法をとりました。

セラピストさんからはタイ古式マッサージチケットをいただいたり、だんなさんが漁師をやってる人からはイカやマグロを、酒蔵を親戚に持つ人からは泡盛を、他にもたくさんの果物や野菜、黒砂糖、ジェラートやホテルの名物ピザなどもいただきました。開催しているこの古民家すらもギフトです。

「すごく美味しいから食べてほしい!」とか、それを選んでくれたその人のおもいに触れられることは、とても豊かで幸せな気持ちになれる経験だと知りました。お金で創れる世界もあれば、お金を介在させないからこそ創れる世界もあります。

大規模な物流もなく、都会に比べてモノが少ない島においては、足りないことを考えるのではなく、今ここにあるモノやコトで実は十分に豊かであると気がつくことが大切だと感じています。そしてそれらを最大限活かして、お互いに思いやりと自信をもって支えあい、助けあい、「ありがとう」でつながりを深めることができたら、とても素敵だと思います。

それこそが、島らしい、マインドフルでウェルビーイングな暮らしのかたちであるように思っています。

【私の日常にあるマインドフルネス⑦】今ここにあるものでお互いに支え合うとき。

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まだまだ私の日常にはたくさんのマインドフルネスがありますが、長い文章となりましたので、ここで終わりにさせていただきます。ここまでお読みくださりありがとうございました。

■プロフィール

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鳥谷部 大樹(Daiki Toriyabe)
Well-Being & Coaching Nangoku,Inc. 共同代表&CEO
株式会社ウィルグループ 人材開発部 社内コーチ
米国CTI認定Certified Professional Co-Active Coach

東京に本社を置く人材系企業の人材開発部に総合職として所属しながら2020年3月に家族5人で品川から沖縄県の離島 久米島に移住。2006年から学び続けているポジティブ心理学とコーチングを基軸にして個人の幸せと事業の成⻑を同時に実現することを目指す「well-being経営」を推進。主に経営幹部へのパーソナルコーチングを行う社内コーチを務めながら、幹部自身がコーチングを行えるようになるためのトレーニングやより協働力を高めるための対話のレクチャーを行っている。2020年6月にパラレルワークでWell-Being & Coaching Nangoku,Inc.を設立。well-beingの研究と実践活動をもとに「Well-Being Coaching」を体系化。Well-Being & Coaching Nangoku,Inc.のサービスとして、主に本業ではアプローチが難しい他社CEOや経営幹部、そして、久米島の島民(身近な仲間たち)に向けて届けている。

■お知らせ

▶意識の進化×島暮らし
株式会社ウエイクアップによる「意識の進化」シリーズ(20年11月27日)
久米島への移住半年の時点で、日本を代表するコーチ山田博さんからインタビューを受けました。


▶まんが「マルチステージ」我が家の場合(前編)
日経×woman「DUAL」掲載(21年3月24日)
久米島への移住までの物語です。
・山梨県へ1カ月のお試し移住
・妻、沖縄の求人を発見
・夫、沖縄から完全リモート勤務をスタート
・会社での成功だけが人生の成功ではないはず

▶まんが「マルチステージ」我が家の場合(後編)
日経×woman「DUAL」掲載(21年6月28日)
久米島への移住後からの物語です。
・移住先でご近所との人間関係づくり
・子どもたちも島の生活に順応
・小さなコミュニティだからできること
・夫が家事の時間を増やせば家族は円満に


▶Well-Being & Coaching Nangoku,Inc. について


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今日もマインドフルネスな1日を
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