「写真を撮る」という行為は「今ここ」を感じて切り取る、マインドフルネスな行為。この連載では、そんなふうにマインドフルネスに生み出された写真とその写真にまつわるストーリーをご紹介しています。
この紫陽花を見た時、
花の色は 移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに
という句を思い出した。
小野小町の句だ。
長い雨が降る間に色褪せた花と自分の身を重ねて憂う歌なのだけれど、反対に、いつまでも色褪せて欲しくなかった気持ちも感じ取れる歌だと思う。
私も、できることならば、この見事な青をいつまでもみていたいと思った。
でも、そんなことはできないから
せめてこの美しさが永遠にしまいこめるように、写真に写すのだ。
移ろうことが世の常だからこそ、この一瞬に感動してしまう。
少しの切なさとともに、毎年、この感動を胸いっぱいに味わっている。
気づけばまた今年も、見事な花を見せてくれて、ありがとう。
わたなべさき
会社員/フォトグラファー
雨の日にテンションが上がる人。
みんなが本当の想いを生き、心を震わせあう世界をつくりたいと思っています。