佐原の大祭で千年の心に触れる -三宅弘晃-

「写真を撮る」という行為は「今ここ」を感じて切り取る、マインドフルネスな行為。この連載では、そんなふうにマインドフルネスに生み出された写真とその写真にまつわるストーリーをご紹介しています。

古い街並みを今に残す美しい町、佐原(さわら)。町の中央を流れる小野川沿いには商家や町屋が軒を連ね、江戸の雰囲気をそのままに残している。

かつては物流の拠点ともなったこの水の郷で、年に二度、華やかな祭りが開催される。それが、佐原の大祭である。

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地元で育った若者たちは、祭りの時期になると決まってこの故郷に戻り、大祭を盛り上げる。見どころは豪華絢爛な巨大な山車を、厳かに、そして豪快に回転させる「のの字廻し」だ。これこそがこの土地の男たちの憧れであると、彼ははにかみながら誇らしげに教えてくれた。

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大祭は世代を超えた教育の場でもあった。彼らは、齢を重ねると共に次なる世代に役割を引き継ぎ、また新たな役割を全うしていく。そこには、千年以上にもわたり連綿と受け継がれてきた精神が、確かに存在していた。

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大祭の夜は更ける。しかし本当の祭りは、日付を跨いだ深夜から始まる。観光客が去った佐原の町では、地元の人々が夜通し酒を飲み交わし、踊り、日が昇るまで季節の風物詩を楽しみ合うのだった。

江戸優り 佐原の大祭:香取市ウェブサイト:香取市観光サイトwww.city.katori.lg.jp

三宅弘晃
キャリアコンサルタントカメラマン
キャリア心理学を応用し、その人の魅力あふれるポートレート撮影を行なっております。活動テーマは「モヤモヤを、イキイキに。」

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