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思いやりの連鎖が生まれる場づくり-岩濱サラ-

マインドフルなアドベントカレンダーの5日目。バトンが繋がっていく感じが楽しいですね!小笠原 和葉さんからバトンを受け継いだ今日は、マインドフルネスやコンパッションをベースとした「場」と「つながり」について書いていきたいと思います。

まずは私の活動を紹介させていただきながら、マインドフルネスベースの場作りについてお伝えしていきます。私のメインの活動は、海と山の自然に囲まれた鎌倉・稲村ガ崎に、小さな古民家をリノベーションし、私らしい私で、私自身と、他者とつながる「ThinkSpace鎌倉」という場を運営しています。

囲炉裏を囲んで団欒する、クッションに座りながらのんびりくつろぐ、自然の音に耳を澄ます、木漏れ日の美しさに感動する・・・
そんな豊かな時間を感じながら仕事をするコワーキングスペースです。

おもてなしは「囲炉裏で焙じた茶葉でいただく芳香なほうじ茶」。
焙じるときに緑色から茶色への変化していく茶葉の色、立ち上がってくる豊かな香り、パチパチという炭の音やフライパンを揺する音、焙じた茶葉を触ったときの感覚、そして味わったときに口の中に広がる甘み・・・
視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚、五感を研ぎ澄ませながら、全身で味わうお茶は、マインドフルで贅沢な時間です。

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鎌倉にマインドフルネスベースの仕事場を作ったきっかけ

なぜこのような場所を始めたのか。
それは、時間的にも空間的にも「余白」のないオフィスワーク、効率化や生産性が求められ、未来につながる「遊び」が持てない会社組織に息苦しさを感じていた日々の中で、毎日、通勤電車でつぶされながら都心のオフィスビルで働くことへの限界を感じていたから。

あのころの私を思い返してみると・・・不動産の仕事をしていたこともあり、身につけているもの、立ち振る舞い、住んでいる場所、乗っている車、働いている企業名などで、「良いお客さま」かそうでないかをランク付して判断していたように思います。
そして、それは他者への評価判断だけではなく、私自身への評価判断にもなっていました。結果をださないと認められない、何か人と違うことをしないと存在価値がないのではと思ってしまう、同期のあの子と比べて自分なんか・・・そんな自己否定のループに入れば入るほど、会社にいくのが嫌になり、でも会社の中ではそんな姿を見せずに「出来るビジネスパーソン」である私を演じてしまう。
仕事の内容、組織の人間関係、職場の環境、そしてそこで働く私自身、全てがストレスフルで張り詰めていたように思います。

このような状態で長く生活していると、心はどんどん閉ざされ、自らを守るためにも鈍感になっていきます。これは、人間の自律神経系のうち、背側迷走神経系によって引き起こされる「凍りつき」の反応だったのかもしれません。

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安心安全なつながりが社会的活動には欠かせない

ここで、最近注目している「ポリヴェーガル理論」の中で提唱されている腹側迷走神経系の働きをご紹介したいと思います。腹側迷走神経系は哺乳類にしか見られない神経で、社会交流システムに関わる活動を支えています。

”哺乳類が持っている社会的行動と感情の制御を行う神経回路は、神経系が「安全である」と感じているときのみに発動する。そのとき、この神経回路は「健康」、「成長」、「回復」を促進するように働く。
「安全」は、人間が潜在能力を発揮する上で、欠かすことができない。「安全」は、社会的行動にとってだけではなく高次の脳が創造性を発揮し、生産的であるためにも必要不可欠である。”

"腹足迷走神経経路によって社会交流システムが発動しているときは、声や表情で「安心である」という合図を出し、それにより、自分自身と他者の防衛本能を制御する"
出典:ポリヴェーガル理論入門 心身に変革をおこす「安全」と「絆」ステファン・W・ポージェス著(P24、P29 第1章「安全である」と感じることの神経生物学)

ちなみに、「ポリヴェーガル理論」はバトンを受け継いだ小笠原 和葉さんがお詳しいので、こんなところでも、つながるよろこびを感じますね!

さて、神経系の働きを見ても、私たち人間が生きていくためには、「安心安全なつながり」は欠かせないものであることが分かります。では、「安心安全なつながり」はどのように作っていくのか。重要な要素は大きく二つあると感じています。

①存在そのものを受容されている安心感
(背側迷走神経系による凍りつき反応が起こらない状態)
「あるがままの私」を、まずは私自身で受け入れること。マインドフルネスやコンパッションの実践により、「今この瞬間」の感情や状態に気づき、良い悪いという評価判断を手放しながら、第三者の視点で優しく自分自身を受け止めていきます。そして、他者に対しても、評論家にならずに、あるがままの存在に優しく寄り添っていきます。

②攻撃しない/攻撃されない安心感
(交感神経系による闘争/逃走反応が起こらない状態)
強い感情的な反応があると扁桃体ハイジャックが起こり、理性を失った反応をしてしまうことがあります。マインドフルネスの実践により、理性を司る前頭前皮質を鍛えることで、扁桃体の活動を鎮静化させます。
また、批判的な感情や、評価判断の思考が出てきたとき、自分自身の思考の癖に気づくことで、固定観念に縛られない「ありのままの状態」で、ものごとを俯瞰することができるようになります。

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「安心安全なつながり」が生まれる空間づくり

皆さんにとって、「心から安心できる場所」とはどんな場所でしょうか?

ご自宅、会社、近所のカフェ、お寺や神社、公園、山や海・・・私たちは常にどこかの物理的な空間の中に存在しながら暮らしています。そして、その空間の中で人と関わり合い、ものと触れ合い、自然とつながり合っています。ものに触れる、人と触れ合うなど、物理的な接触が安心感を生み、「私という存在」「私以外の全てのものの存在」を感じさせてくれます。

「私は、私以外の全ての存在でできている」
これは、ティク・ナット・ハンが伝えている言葉で、あらゆる物事は独立して切り離されたものではなく、相互に関係しあい依存しあって存在しているというインタービーイング(相互共存)の考えです。

都心の高層オフィスビルを頭に思い浮かべてみると、エントランスにはセキュリティゲートがあり、許可されたフロアのみ立ち入ることができ、薄暗い廊下にある重たい扉を開けると、机が整列されたデスクエリア・会議室エリア・休憩エリアなど、空間効率を重視して配置された、無機質な空間が広がっている・・・このような空間は、「機能的」で「効率的」であるものの、人の動きや振る舞いも「独立的」で「分断的」な状態を無意識につくり出してしまっているかもしれません。

では、「つながり」や「相互共存」を感じられる空間とはどのような空間なのでしょうか。

里山など自然の中を思い浮かべてみると、様々な種類の植物が、一見何の規則性もないかのように自由に伸び伸びと生えながらも、生態系全体としての秩序が保たれています。植物や動物にはそれぞれにつながりがあり、相互に生かし合いながら共存しています。そして、そのつながりや生態を詳しく観察していくと、自然の摂理に従った効率の良い法則が隠れていることが分かります。

「自然の摂理に従った空間」

私たち人間も、自然界の中で循環している生態系の一部分であることに立ち返ると、このような空間が、心地の良い空間、つながりや相互存在を感じられる空間なのかもしれません。余白、遊び、あいまいさ・・・自然界にある豊かさを空間設計に取り入れることで、人間の心や振る舞いも、より豊かになっていくように感じています。

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空間を超えた「場」がもたらす思いやりの連鎖

私が大切にしているもののひとつに、「物理的空間を超えたつながり」があります。コロナウィルスのおかげで、急速に広まったオンライン瞑想会。私も3月からの約9ヶ月間、荻野 淳也さんが主催している「朝のマインドフルネス」瞑想会に参加しています。月〜土までの毎朝6時からの30分間、多いときには200名以上の方が参加され、荻野さんのガイドと共に瞑想を行います。

「いまここに立ち上がる呼吸。あるがままにただただ味わっていきましょう。」
「今週の意図、大切にしたいあり方は何ですか?」
「いまという瞬間を、好奇心と初心の目で眺めてみましょう。」

私という中心軸に立ち返らせてくれる、とても大切な時間になっています。

この9ヶ月間で一番変化を感じたのは、私自身の「思いやりの心」。自分や他者の苦しみを感じ、寄り添い、自分・他者の最善を願っていくコンパッションのプラクティスを毎日継続していくことで、苦手だなと思う人に対して、自然と優しさを持てるようになり、その方の歓びや幸せを願っている私自身に気がつきました。

そして、ここに集う方々とのつながりは、何とも言えない不思議な安心感があります。会ったことはないけれど、心の深い部分でつながっている感覚、自然と共鳴が起きている一体感。実際に、朝のマインドフルネスでご一緒している方と初めてお会いしたときに、初めてということを忘れるくらい、自然で心から安心できる感覚でした。

空間を超えて暮らしのリズムで人と人がつながっていく

私自身も新たな挑戦として、みんなで暮らしのリズムを整える「nesto」というプラットフォームの中で、月〜金の22時から「情け深まる音瞑想のリズム」という時間を担当しています。一日の終わりに、音の波動に包まれながら、今日という一日を情けと共にしめくくる、そんな瞑想の時間です。

「今の私は、どんな音(波動)を出しているのだろうか」
私自身、周囲の環境、そして地球全体の音を感じながら、心でつながる仲間と「今日の感謝」を分かち合う時間を過ごす、そのことが思いやりの連鎖を生み出し、人生がさらに豊かにしていく気がしています。

さて、次のバトンは毎朝お世話になっている荻野 淳也さんへ。感謝の気持ちとともに。

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photo by souta motonaga(プロフィール写真も同様)

■プロフィール

岩濱 サラ
Sarah Iwahama

MindfulLife×ワーケーションThinkSpace代表、こどもマインドフルネス教育コミュニティmindful park代表、心と身体を整えるWELL-BEING UP共同代表、一般社団法人ワーケーションネットワーク理事。
マインドフルネス・ナビゲーター、一級建築士、宅地建物取引士。

1981年、神奈川県生まれ。学習院大学理学部数学科、京都造形芸術大学建築デザイン卒、武蔵野大学大学院人間社会研究科在学中。IT企業でのシステム開発コンサルタント、不動産ディベロッパーにおける居住用・投資用不動産の開発営業を経験した後、「空間・生活・つながりの再構築により、心の豊かさを見つめ直し、幸福度の高い社会をデザインしていきたい」との想いから2014年に起業した。
目指しているのは、「ひとりひとりの人生を、今生きている世界を、もっと輝かせる幸せなワークライフ」の実践。鎌倉と築地の2拠点生活を送りながら、私らしく、自然とともに、愛にあふれた日々を楽しんでいる。

■お知らせ

▼ThinkSpace鎌倉
鎌倉市稲村ガ崎にあるワーケーション施設。海や山に囲まれた環境で、内省により集中力や創造性を高めながら仕事をしたり、ミーティング合宿をしたり、チームビルディングにオススメです。ドロップイン、囲炉裏の間・畳の間貸切利用など随時受付中(要予約)。

▼マインドフルネス学び&実践コミュニティ
マインドフルネスやコンパッションをベースに、「今をより良く生きる」ためのコミュニティです。「マインドフルネス × ◯◯」の学び、オンライン・サウンド メディテーション(毎週月曜日 22:45-23:00)などを提供しています。

▼WELL-BEING UP
心と身体の潜在能力を呼び醒まし、つながりの中でウェルビーイング習慣を共に楽しむプログラムを提供しています。健康経営や組織単位でのウェルビーイング向上へ取り組む企業様のサポートも行っております。

▼mindful park
生命・自然の摂理・日本の叡智の探求をベースに「私らしく生きる基盤」を築いていくマインドフルネス教育コミュニティです。

▼マインドフルネス生活
生活の中にあるマインドフルネスにフォーカスをあて、なにげない日常の一瞬一瞬にある豊かさへの気づきを大切に紡いでいくWEB日記。マイペースでのんびり更新していきます。

▼nesto「情け深まる音瞑想のリズム」
毎晩(月〜金)22時から、音の波動に包まれながら、今日という一日を情けと共にしめくくる暮らしのリズム。紹介制のコミュニティのため、体験説明会への参加を希望される方は直接ご相談ください。


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「マインドフルネスを私たちの日常に。」をコンセプトに、マインドフルネスを気軽に知る・体験する・実践するのきっかけを作るための、マインドフル・ライフスタイルメディアです。