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瞑想を”聴く” 〜J・コルトレーン、L・クラビッツ、そして、その先へ〜 -RussellME 𠮷田 真太-

 こんにちは。ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント 𠮷田です。

 Mindful.jp「アドベントカレンダー2020」のこれまでの記事を通じ、読者のみなさんはマインドフルネスについてかなりの知識を得られたかと思います。知識を得たら、あとは実践あるのみですね。筋トレと同じで、いくら理論を知っていても結局のところは実践しなければマインドフルネスの効果は得られません。
 
 マインドフルネス瞑想の実践に際しては、アプリなどで音声ガイド再生する、全くの無音でやる、あるいは、瞑想用の音楽を再生する、など十人十色だと思います。僕たちはエンターテインメントを通じたマインドフルネスの普及に取り組んでいますので、きょうは瞑想と音楽についてお話ししようと思います。でも、瞑想音楽の特集ってワケではありません。むしろ、音楽の側が瞑想についてどう言及してきたか、をご紹介したいと思います。


ジョン・コルトレーン『メディテーションズ』(1966)

 共同創業者のシゲちゃんこと大西が「こんな曲がある」とこのアルバムを教えてくれたことが、この原稿を書くキッカケに。高校時代にサックスを習っていた僕はコルトレーンの『ア・ラヴ・シュプリーム』なんかを憧れながら聴いてたのに、このアルバム知らんかったよ。メディテーションって、ズバリ瞑想のことじゃないですか。

 どれどれ…。うわー、前衛的だなぁ。収録曲の名前は『セレニティ(静穏)』や『コンパッション』など確かに瞑想を思わせる。でも、いわゆる「瞑想用音楽」とは全く違う前衛的なジャズ。インスピレーションや音感や指先そして呼吸にすべてを委ねることがコルトレーンにとっての瞑想すなわち『メディテーション』だったのかも?

 ちなみに、ほかの収録曲には『ザ・ファザー・アンド・ザ・サン・アンド・ザ・ホーリー・ゴースト』とキリスト教の三位一体を曲名に冠したものもあります。クリスマスっぽいですよね。アドベント・カレンダーですからね。もっとも、この曲も他曲同様に前衛的で、これがコルトレーンにとっての三位一体かと思って聴くとなかなか哲学的です。

 僕の高校時代に触れたついでに中学時代にも触れると、中学1年生の僕に坐禅を教えてくださった先生はクリスチャンでした。カトリックの先生から毎週、大学の仏教青年会館で坐禅と般若心経と聖書を習ってました。マインドフルネスでアドベント・カレンダーというのもなかなかクロスオーバーですが、僕の瞑想との出会いもこのようにクロスオーバーでした(笑)。

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キース・ジャレット『ブレイム・イット・オン・マイ・ユース/メディテーション』(1999)

 ジャズ・ピアニストのキース・ジャレットが『ブレイム・イット・オン・マイ・ユース』という曲に続けて即興演奏をするんです。そして、この即興部分につけた名前が『メディテーション』。コルトレーンの『メディテーションズ』と、なんだか言わんとしてることが似てる気がしませんか?

 僕はサックスを習っていた時、アドリブの箇所が苦手でした。楽譜がないので、どう吹くか迷います。迷えば迷うほど、吹けなくなります。ところが、先生に無理矢理ジャズ・バーの舞台に引っ張り出されると、エイヤ!の勢いで「気づいたらアドリブ演奏してた」ということがありました。即興演奏において感性や身体感覚を「表出すること」と、マインドフル瞑想を通じてこれらに「気づくこと」にはもちろん違いもありますが、共通する部分も多いと思います。

音楽の最高の瞬間においては、目的と手段、形式と内容、主題と表現のあいだには区別など存在しない。
(ウォルター・ペイター『ルネサンスー美術と詩の研究』)


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ジョン・トラボルタ、オリビア・ニュートン=ジョン『愛のデュエット』(1978)

 さて、青春ドラマ! この曲はみなさん聴き覚えがあると思いますが、歌詞に「瞑想」が歌われてるってご存知でした? これから歌モノを紹介していきますが、歌詞の一部だけではニュアンスが分かりづらいし、かといって前後まで引用すると読むのも書くのも大変なので、独断でかいつまんでエクストリーム意訳します。

【エクストリーム意訳】(ヒロインから主人公へ)もしも好きな気持ちでいっぱいで、でも内気すぎて言えないのなら、わたしに向けて瞑想してみて。行くべき道を感じてみて。

 内なる気持ちに気づく、考えるのではなく感じる、次の一歩を踏み出す。瞑想の体験でありますよね。「そこのキミ、わたしに向かって瞑想しなさーい!」っていうのは、ラブ・ソングならではのご愛嬌ということで。

 ともあれ、誰かを好きだという感情と、恥ずかしいとかフラれるかもという恐怖の感情、悩みますよね。高校生ならなおさら。いや、大人になってもか。ともかく、誰しも悩みますよね。

 瞑想して心を落ち着けて、いい恋愛を含むいい人間関係を築いきましょう! そんなわけで僕たちは、東京カレンダーさんの真面目な出会いのイベントをメンタリング瞑想アプリ『RussellME』で応援したりしています。

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ブラック・アイド・ピーズ『ホエア・イズ・ザ・ラブ』(2003)

 恋愛も人生の大事な要素ですが、それだけじゃなく、家族や友達そして人類につながる大きな愛も大事。大事なんだけど見失いがち。そこで、2001年の9.11から世界各地で様々な対立が表面化してきた2003年のこの曲が問います。「その愛ってどこよ?」

【エクストリーム意訳】自分の人種しか愛せないなら、差別の余地をつくるだけ。差別は憎しみを生み、憎しみは怒りを生む。そして、きみは狂気を体現するハメになる。なぁ、愛を持たなきゃ。正しくあるために。心をしっかり捕まえて、瞑想してくれ。みんな、みんな、愛に魂が引き寄せられるように。

 最後の「引き寄せられる(gravitate)」ってところが「引力(gravity)」と同根の単語で素敵です。どしっと構えて坐っていれば、ゆっくりと、しかし確実に、体も心も落ち着くべきところに落ち着いていくのを感じませんか? 争いを望む気持ちも、平和を望む気持ちも、どちらも存在しますよね。でも、静かに坐っている時に、吐く息とともに薄まっていく気持ちはどっち?吸う息とともに深まっていく気持ちはどっち?感じてみて欲しいです。

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レニー・クラビッツ『ザ・フェイス・オブ・ア・チャイルド』(2011) 

ブラック・アイド・ピーズが愛と平和を訴えた8年後、レニー・クラビッツが「平和はまだ見つけられる」と歌います。あれれ、8年経ってもあんまり状況よくなってない? うーん、そしたら、もう、無理なんじゃね?

【エクストリーム意訳】僕らはいま壊滅的な速度でいろいろな問題に直面してる。みんな絶望的な気分だ。戦争が多すぎてお腹いっぱい。運命を変える時間は残されてるのか? でも、状況はまくり返せる。平和はまだ見つけられる。それは心から始まるんだ。子どもの信念を持とう。心はなんだって想像できる。僕らは困難を克服できる。だから、みんなで心をひとつにしよう。だから、平和を思い瞑想しよう。子どもの信念で。

 2011年、東日本大震災が日本を襲い、多くの人命を奪いました。日本の外ではこの年だけでも、リビア、シリア、スーダンで新たな紛争が始まりました。他の地域で継続する紛争に加えて、です。まさに歌詞の通り「お腹いっぱい」の状況でも、いや、だからこそ、信念を持つことの重要さを思い出させられます。

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小室哲哉『Free Your Mind』(2020)

 そう、僕たちは諦めません。マインドフルネスを通じたひとりひとりの心の平和と「ありたい自分」を実現すること、そして、その結果として世界平和に一歩ずつ近づくことが僕たちラッセル・マインドフルネス・エンターテインメントの使命です。そのためにサラリーマンやめて起業したんですから。

 でも、どうやったら、より多くの人にマインドフルネスを伝えられるだろうか? そうだ、アートだ。エンターテインメントだ。そこで、小室哲哉さんに小室さんとしては初となる瞑想音楽を制作していただきました。鍵盤楽器であるシンセサイザーで敢えて無段階音階を表現した、音楽的にも画期的な新しい瞑想音楽が生まれました。45分の大作です。

この度、初の瞑想音楽制作に挑戦することになりました。マインドフルネスを通して自分を見つめ、様々な気づきがありました。自分が想う通りの楽曲に、そして、『この時代に小室哲哉を生かしておいて良かった』と思っていただける楽曲にしたいと強く思って制作しました。シンセサイザーならではの特性を活かして、聴く度に新たな気づきがあるような、アートな楽曲をお届け致します。(小室哲哉氏)

 というか、僕の青春を彩ったあのTKですからね。小室さんにマインドフルネスについて説明しながら、ついついテンション上がっちゃいます。It’s my dream or your dream or somebody’s dream という点では完全に my dream ですね。出会いこそ人生の宝探しですね。

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大沢伸一『キオクトボウキャク』(2020)

 僕たちの使命や活動に賛同くださる方々が増えるようになり、こんどは大沢伸一さん!かつて僕がクラブYELLOWで憧れの眼差しを注いだ、あの大沢さん。

 大学生にタクシーなんて選択肢はないので、終電に乗って渋谷から西麻布まで歩いて始発まで粘る。クラブのお酒は高いから、行く前にコンビニで発泡酒なんかを買っては飲み干してから行ったり。なんか謎に必死だったけど楽しかったなぁ。なんていう記憶を思い出し、そして、手放す。「いま・ここ」に静かに優しく意識を向ける。そんな美しい音楽が生まれました

何世もの時を遡るかのような記憶の旅をイメージしました。思い出すと同時に彼方に飛ばされるような忘却。受け取り方に決まりはありません。(大沢伸一氏)

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音楽と瞑想

 さまざまな芸術の形態の中で音楽ほど「共有」に適したものはないと思います。楽器やスピーカによって空気を振動(バイブレート)させることで、その場にいる全てのひとびとの耳と心に雰囲気(バイブス)を伝えることができます。さまざまな時代において、社会的ムーブメントと音楽が歴史的に深い関係にあったことは必然だったと思います。

 さらに、音楽は言葉や視覚に依存しないうえに、時間とともに味わう「時間芸術」でもあり、人の注意を「いま・ここ」へと自ずと向ける作用があります。一瞬一瞬で生まれる色とりどりの音は、聴く者にさまざまな印象を与えます。このメカニズムは、その時々の身体感覚や情動が僕たちの感情や思考を自動的に生起させるメカニズムにも通じます。

 それでは、次々に生まれる音の意味を頭で解釈しようとする代わりに、音を音として受け止めてみてはどうでしょうか? 時間とともに生まれては消える音、そして、この聴覚的刺激を受ける「いま・ここ」の一瞬一瞬の自分をありのままに受け止める時間。それは、マインドフルネス瞑想が僕たちにもたらす時間と同質だと思います。

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バイバイン

 「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」とユネスコ憲章は宣言します。ミネラルを含む地下水が人知れず、けれども、着実に鍾乳石を育むように、人の心に平和をもたらす瞑想音楽や瞑想にまつわる音楽が流れるたびに僕たちの心のなかの平和の砦が堅牢になっていくことを願います。

 音楽はふたりで聴いても半分にはなりません。むしろ、ムーブメントを促す力は2倍になります。10人で聴けば10倍。100人で聴けば100倍。ドラえもんのひみつ道具「バイバイン」のように、マインドフルネスと音楽が手に手を取って平和の砦が倍々に増えていきますように。マンガのオチは幾何級数的に増えた栗饅頭を持て余すというものでしたが、平和の砦のための場所はいくらでも、僕たちの心の中に無辺大にあるはずです。

 それでは、バイバイン!

だから、平和や互いの向上に役立つことを追い求めようではありませんか。
(『新共同訳 新約聖書』ローマの信徒への手紙 14章 19節)

恩師、故・香山芳久先生を偲んで。


■プロフィール

𠮷田 真太
(よしだ しんた)
ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン株式会社 共同創業者取締役
日本マインドフルネス学会 準会員

伊藤忠商事株式会社およびウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社を経て、エイベックス株式会社にてコーポレート執行役員、アジア法人代表取締役社長、米国法人シニア・バイス・ プレジデント等を歴任。その後、2018年にラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパン株式会社を共同創業。

京都芸術大学大学院 学際デザイン研究領域 在学中。マサチューセッツ大学医学部 マインドフルネス・センター「マインドフルネス・ツールズ」修了。慶應義塾大学 メディア・コミュニケーション研究所修了。マサチューセッツ工科大学 スローン経営大学院、京都芸術大学芸術学部、慶應義塾大学法学部卒業。

神奈川県生まれ。2児の父。

■お知らせ

グッドデザイン賞・Google Play Best of 2020「隠れた名作賞」受賞 メンタリング瞑想アプリ「RussellME」

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グッドデザイン賞受賞「メディテーションチェア」

 

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スキってどんな色ですか?
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