子育ては、私育て…葛藤を乗り越え出会った、「今を生きる」ためのヒント/前編

この連載は、マインドフルネス実践者が、マインドフルネスに出会い、どう人生が変わったのかを綴るエッセイです。
今回は、現在マインドフルネストレーナーとして活動している小田 和加奈
さんのストーリーを前・後編でお届けします。

3年前まで「職業:専業主婦」だった私が、こちらへ記事を書かせていただいていることへの感謝が溢れると共に、今、とてもワクワクした気持ちで満たされています。これは、少し前の私には全く想像もできなかった世界です。

はじめまして、小田 和加奈です。私は、現在ライフコーチ、マインドフルネストレーナーとして活動しています。小学5年生、3年生姉妹の子育てを通して、「私自身を育てる」日々を過ごしています。

今回は、マインドフルネスに出会い少しずつ変化していった「子育て」と「私自身」についてお伝えしていこうと思います。

もくじ

思い通りにはいかない「子育て」

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私が「ママ」と呼ばれるようになってからの日々は、あまり穏やかなものではありませんでした。スタートは、子どもを産んですぐのこと。深夜、病室に赤ちゃんと2人きりになった瞬間、突然世界が止まってしまったように感じたのです。

ママになることを心から望んでいたのに、いざママになったら何をどうしたらいいのかよく分からず、憂鬱な気持ちがどんどん膨らんでいったことを覚えています。目の前には弱々しく、か細い手足の赤ちゃんがいる…そんな状況をただぼんやり眺めていると、どうしようもない不安が襲ってきました。

(私に、この子がちゃんと育てられるのだろうか?)

そんな言葉が、グルグルと脳内を駆け巡ります。事前に子育て本を読み漁ってはいたのですが、それだけでは到底埋まらないような深い溝でした。自分には重すぎる荷を背負ったような感覚を味わっていたのです。出産の疲れやホルモンバランスの乱れ、母乳がうまく出ないなどの気がかりもあり、既に不安で一杯でした。

こうして、自信が持てない状態でママとしてのスタートを切ったのですが、それ以降も悩みは尽きませんでした。書籍やインターネットから仕入れた情報を元に、子育ての正解を探る日々。「よりよく育てたい」そんな願望があったため、絵本や知育玩具を次から次へと購入していきました。

私なりに「一生懸命」子育てをしているつもりだったのですが…長女の発育は思いの外、緩やかでした。発語も遅く、道具の使い方もあまり上手くならず、同じ月例の子とわが子を比べては落ち込む日々。

この状況は、私自身に「ダメママ」の烙印を押されているようでした。そのため、ますます教えることに対して躍起になっていきます。今考えると、自分のペースで成長していただけの長女にとっては、とても悲しい話ですよね。彼女は、ただありのままで生きているだけなのに、それを否定され続けているのですから。

でも、あの頃の私には、残念ながら他の選択肢が無かったのです。

「この子のために」

これは、当時の私の合言葉でした。子どもを愛していたことにもちろん偽りはありませんが、そのやり方は「私の考える正解」をひたすら押し付けるだけの、自分勝手な行為だったと、今では思います。

ストレスフルな子育ての日々に、限界

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長女の成長にともない活動範囲が広がる中、2歳違いで次女が誕生しました。私の年齢を考えると、少しでも早めにもう1人…という思いがあり、大変さを想像しながらも新しい命を授かったことには、感謝が溢れました。

しかし、私の生活は予想以上に追い詰められていきました。長女は、一言で言うならば超マイペース。周りの状況が見えず、順番待ちや人に合わせる行動も苦手でした。外出時、少しでも目を離すといつの間にか走り出してしまう長女を追いかけては、悪戦苦闘。カートに乗ることを拒むため、買い物を中断することもよくありました。そんな姿を、次女はいつも抱っこされながら、じっと見つめていました。

次女は長女とは違い、何でも自分でやりたがる子でした。正直「教えた」という記憶があまりありません。それを理由に、小さな次女にはかなり甘えてしまい、私は長女にかかりきりになっていったのです。

癇癪のひどかった長女とのバトルは、ストレスフルな時間でした。「分かってあげなければ」という気持ちと「もう泣きわめくのをやめてほしい」という想いが、常に私の中で葛藤しています。その繰り返しの中、次第に私の身も心も疲弊していきました。そして同じく、長女も毎日疲れ果てているのが伝わってきました。

幸い、夫も家族も私に対して沢山の思いやりをかけてくれましたが、私自身それを素直に受け取ることができませんでした。子どもたちを支援センターなどに連れて行っては、毎回2人で疲弊する姿を見ていた夫。心配から「あまり無理をしなくても」と声をかけてもらっても、「あなたに何が分かるの!」と、ただ反発していました。

遊び場に連れて行かなければ、習い事もさせなければ、私は「ダメママ」になってしまう…そんな恐れに、いつの間にか駆り立てられていたのだと思います。

このようなマインドでの子育ては、沢山の人に囲まれていても、まさに孤独な「孤育て」なのです。振り返ると、誰の声も受け入れず、完全に耳を塞いでいた私がそこにいました。

そんな生活を4年ほど送っていましたが、長女が幼稚園に入園したタイミングで、私の状況をとても理解してくださる幼児教室の先生と出会うことができ…藁にもすがるような思いで、その先生に頼るようになりました。

先生は、私に「子どもを預けている間は、ただ自分の時間を楽しんで!」と、伝えてくださいました。自分の時間を楽しむ…そんなことは、子育てを始めて以来、正直考えたこともありませんでした。自分を犠牲にしてでも、子どものために尽くす。これが親の愛だと思い込んでいたからです。

その日から毎週1時間、私は次女と2人で私の行きたいところに行き、食べたいものを食べながら、束の間の休息を味わうようになりました。

===後編へ===

著者プロフィール

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ワカナ(小田 和加奈:Mindful.jp編集部)

ライフコーチ、マインドフルネストレーナーとして「今、幸せを感じながら生きられる人を増やす」をミッションに、パーソナルセッションの提供やワークショップ等を開催中。

好きな言葉「過去の延長線上にない未来を描く」

・まなびやアカデミー 認定 マインドフルネストレーナー
・PICJ 認定 関係コンディショニングプラクティショナー(U理論)
・Points of You® 認定 Practitioner/トレーナー
・石田勝紀 主宰Mama Café 認定 ファシリテーター/育成講師
・SDGs for School 認定 エデュケーター 等

▼個人SNS/HP

https://ameblo.jp/coach-wacana

https://linoleina.com/

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