英語では直感を「gut feeling(腸で感じる)」。
日本には「腹が据わる」「腹が決まる」などの腸にまつわる慣用句が多く存在します。
「マインドフルネスをしていても、イマイチ集中できない。」
「マインドフルネスをしている間は落ち着くけど、そのあとはすぐにイライラしやすくなってしまう。」
「瞑想中眠くなる。」
こんなお悩み、もしかすると“腸”を見直すことで解決するかもしれません。
コロナ禍で改めて注目されている”腸活”
“腸活”という言葉を聞いたことがありますか?
“腸活”とは、腸を健やかな状態に整えるための行為のことです。昨今のパンデミックの影響で改めて注目を浴びるようになりました。「免疫力を上げたい」という方が増えたからです。
腸が体に良い影響を及ぼすことはよく知られていますが、実は、精神的な面にも大きく影響してきます。
では、腸を健やかに保つことと、マインドフルネスはどんな関係にあるのでしょうか?
今回は、腸セラピストでありマインドフルネス実践者の森本夏紀が、マインドフルネスをしている人に腸活をオススメする3つの理由を、お届けします。
マインドフルネスをしている人に腸活をオススメする3つの理由
①精神の安定
心の安定をはかるには“セロトニン”という脳内物質が欠かせません。セロトニンには、感情的な情報をコントロールし精神を安定させる働きがあります。
そのセロトニンの元になる物質は、小腸でつくられたのち、脳に運ばれセロトニンになります。
セロトニンは脳内にあるというイメージが強いですが、約90%は腸に存在しています。腸は、水分を吸収したり、排便を促したりする働きもあります。
セロトニンがうまく機能することで、心も体も軽く過ごせるようになるということです。
②睡眠の質向上
「瞑想中眠くなってしまう」という方は、まず睡眠時間を確保しましょう。
それでも眠りが浅い、寝てもスッキリしない、という方は睡眠の質を見直しましょう。実は、上述の「セロトニン」は、睡眠ホルモンの「メラトニン」の元になっています。
人は本来メラトニンの作用により、起きてから15〜16時間後に眠くなります。メラトニンがうまく作用しないと寝つきの悪さにつながります。
これら以外にも、さまざまな身体の機能が協力しあいながら、ハーモニーを奏でるように質の高い眠りに導きます。
③集中力アップ
「脳腸相関」という言葉があります。脳と腸は密接な関係にあり、お互いに影響し合っているという意味です。
元サッカー日本代表の鈴木啓太氏がアスリートのうんちを集めて、腸内環境と集中力の関係について研究されています。その鈴木さんのインタビューにはこのような記載があります。
腸と集中力の関係はというと、ある論文では、一つの物事に長く取り組むことができる人は特徴的な腸内細菌を持っていることが発表されています。我々は、それらを総称して「集中力持続菌」と呼んでいるんです。
(我々の)研究の中で、一般の方と集中力を必要とするある競技の選手の腸内細菌を比較したところ、その選手は集中力持続菌のいくつかが一般の方より多く、中には133倍も多く検出されたという結果も出ているんです。
集中力は腸に関係する!?ベストオブ集中力メニューとは?―前編【鈴木啓太の腸内環境を整えよう vol.1】より
この研究はまだ途中ですが、いずれにせよ、腸内細菌と集中力は多いに関係しているのではないかと結論づけられています。
また、公衆でのスピーチなど避けられない不安や緊張のある場面の際に、腸が整っていると、「やる気ホルモン」ドーパミンが分泌がスムーズになり、いつも以上の力を発揮することが期待できます。
自分の人生を生きるための”腸活”
以上3点が、マインドフルネスをしている人に腸活をオススメする理由です。
マインドフルネスを実践されている方は、感情や思考を認知することが人生をよりよくすることだと、お気づきのことと思います。
それと同じように、”腸活”も精神面を整え、自分の人生を生きるための方法の一つだと私は考えています。
私自身も、”腸活”で人生が変わったうちの一人です。
以前は神経質で、積んであるタオルの角が揃っていないだけでもイライラしていました。意識が外に向いて、他人のできていないところにばかり目がいき、自分にも「なんでこんなこともできないの?」など責める言葉ばかりをかけていたように思います。
約2年前、腸セラピーやマインドフルネスと出会い、自分の心身と向き合う時間をとることで、ありのままの自分を許し、「こんな自分もいいね」と思えるようになり、自分らしさを取り戻すことができました。
まだまだ解明されていないことも多い腸。
たくさんの可能性が秘められています。
今後は、腸内環境の整え方やマインドフルネスに楽しむ腸活の方法などをお伝えしていく予定です。どうぞ、お楽しみください。
プロフィール
森本夏紀
便秘専門・腸セラピーサロン mokumo オーナー兼セラピスト
1991年岡山県生まれ、愛知県豊田市在住。
高校卒業後、歯科助手として歯科医院につとめる。2019年末、腸セラピーに出会い、資格取得後、便秘専門・腸セラピーサロン mokumoをオープン。
腸セラピーに出会う時を同じくしてMindful.jp立ち上げ人のあやぱんに出会い、マインドフルネスの心地よさに魅了され、2021年末にMindful.jp編集部員となる。