禅語との衝撃的な出会い
8年前に上場会社の社長を「えいっ」と辞めました。
辞めた理由はいろいろあって、人に説明する時は「東日本大震災で自宅が半壊し・・・」とか説明してきましたが(これは本当の話)、今、振り返ってみると「流れ」「必然」としか言いようがありません。
辞めてすぐに全く畑違いの仕事「経営・人事コンサルタント」として独立起業した訳ですが、禅との出会いはすぐにやってきました。
あるセミナーで「禅語」という存在を知ったのが禅との出会いでした。
いくつかの禅語を聞いた時、全身に衝撃が走ったのを今でも覚えています。
「なにこれ⁉︎」
「世の中の真理がすべてここに詰まっているじゃないか‼︎」
決断、行動は早い方なので、すぐその年に曹洞宗で得度し、仏門入りしました。
マインドフルネスと坐禅
以来8年間、坐禅をしてきたわけですが、僕はマインドフルネスと坐禅を日常の中で明確に使い分けています。
マインドフルネスというのは「今、ここに完全に気づいている状態」
つまり「気づきフル」な状態ですよね。
今も2つの会社を経営していて、カレンダーを人に見せると「うわー」って驚かれるくらい予定が入っています。
でも、心はだいたい穏やかです。
とはいえ人間だもの
「ざわざわ」したり「焦ったり」する時があります。
こんな時、呼吸に意識を向けて、身体感覚に注意を向けます。
これが僕にとってのマインドフルネスの活用法です。
つまり、対症療法的に実践しています。
一方で坐禅。
これは毎日の習慣、修行として続けています。
目的を持ったり、何かに期待したり、ということではなくただひたすらに坐ります。
結果として集中力が高まったり、怒りにくくなったり、人間関係が改善したり、風邪を引かなくなったり、というご利益が得られます。実際この8年間、一度も風邪を引かなくなりました。
つまり坐禅は対症療法ではなく、人間が本来もっている力を引き出す、身心を細胞から、根本から変容させていくと考えています。
マインドフルネス瞑想をすればマインドフルになりますが、実は人間にとっては、言葉の持つ力というのはとてもとても大きいので、今回は言葉の持つ力で、マインドフルになれる「禅語」をいくつかご紹介させていただきます。
即今、当処、自己(そっこん、とうしょ、じこ)
そのものズバリですね。
いま、ここ、じぶん、です。
悩みの99.999999999%(測ったわけではありません笑)は
過ぎ去った「過去」と、未だ来ない「未来」を思考が絶えず行き来することで起こります。
私は禅のセミナーや坐禅会でいつも参加者の方にこう聞きます。
「今のあなたの悩み、不安は何ですか?」と。
すると
「えっと、来週から始まるプロジェクトのことで頭が痛いです」
とか
「昨日、友達とちょっとしたことで言い合いになってしまって」
とか。
そんな回答に私は再び同じ質問をします。
「もう一度、お聞きします。今のあなたの悩み、不安は何ですか?」
「少し言い方を変えます。今ここ、この瞬間のあなたの悩み、不安は何ですか?」と。
「・・・・・‼︎ 」
ここまででお気づきでしょうか?
それでは次の禅語に行きたいと思います。
前後際断(ぜんごさいだん)
いま、この瞬間を生きるために言い方を変えて、より強調した禅語です。
「前」とは過去、「後」とは未来。
前後とは時間軸のことです。
過去(前)と未来(後)の際を断ち、今、この瞬間を生きましょう、ってことです。
喫茶去(きっさこ)
お茶を飲む時はスマホなんて見ないで、ただ黙ってお茶を飲んどけー、ってことです。
別に瞑想しなくても、食事やお茶にちゃんと集中すれば、そこにはもうマインドフルな世界が広がっています。
一杯のお茶をいただくときも五感をフル活用するのです。
初めて坐禅修行でお寺に泊まった時、みんな誰とも話さず、黙々と食事をしているのに驚きました。
でも、それでよかったんです。
いや、それがよかったんです。
行住坐臥(ぎょうじゅうざが)
坐ってやるから「坐」禅。
歩きながらやれば「歩行」禅。
「行」とは歩くこと。
「住」とは立ち止まること。
「坐」とは坐ること。
「臥」とは横たわること。
禅の修行は日常の中にあって、いつでも、今ここに集中して、気づきフルであればそれが「禅」の境地なんです。
マインドフル・イーティングとかマインド・フルウォーキングとかもありますよね。
いつなんどきでも、呼吸一つで、今ここに帰ってくればいいんです。
全機現(ぜんきげん)
最後に、マインドフルのその先にある世界観について、
私なりに最もお伝えしたい禅語をご紹介させていただきます。
本当にマインドフルな状態というのは心地良いものです。
でも生きている限り、ずっとその状態に留まっていることはむずかしいわけで。
人生には様々な壁や苦労は付きものですよね。
セットです。もれなくついてきます(笑)
マインドフルネスのレベルが上がると本来の自分、ありのままの自分が出現します。
全機現とは「人がもっている全ての機能を現わすこと」
そしてその状態をいいます。
ぜひ、マインドフルネスと禅語のパワーで
一人一人の中にある、天性の才能を、発揮していきましょう。
そして世界を一緒に全機現していきましょうー。
■プロフィール
島津清彦
(しまづきよひこ)上場企業で人事部長、ホールディングス専務、企業再生、事業会社社長を務めた後、東日本大震災での被災を機に独立起業。同年、禅と出会い得度、仏門に入る。現在はスモールビジネスとスタートアップの2社を経営。直近では禅とサイエンスとテクノロジーを組み合わせ、チームの心理的安全性を高める活動に注力している。著書に「仕事に活きる禅の言葉(サンマーク出版)」「翌日の仕事に差がつく おやすみ前の5分禅(天夢人)などがある。ミッションは「世界を全機現する」こと。
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