心でつながる社会を実現するために-伊藤 穣-

あなたは今、誰とつながっていますか?
あなたは今、自分自身とつながっていますか? 

みなさま、はじめまして。私はSIY国際認定講師の伊藤穣と申します。「一呼吸でつながりを生み出す」をミッションにマインドフルネスプロジェクトを主宰しております。マインドフルネスプロジェクトのビジョンは、「心でつながる社会」の実現です。

私は現在、神奈川県秦野というところに住んでおります。秦野は、自然豊かなところです。夕暮れに沈む丹沢山系の美しさに目を潤し、関東大震災の後に生まれた震生湖の静けさに耳を傾け、そこら中から湧き出る湧水を味わい、箱根の空から吹き下ろす風に身を晒し、畑の野菜の香りに四季を感じます。自然の中で心満つる日々を過ごしております。

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もくじ

目次

  1. つながるということ
  2. 自分の人生を生きる
  3. マインドフルネスで大切なこと
  4. 菜の花
  5. ■プロフィール
  6. ■お知らせ

つながるということ

みなさまにとってコロナ禍の2020年はどのような1年だったでしょうか。

好きな時に好きな場所に行き好きな人に会う。毎日のように会社や学校に行く。買い物をしてカフェでお茶をしてジムで汗を流す。今思えば、コロナ前、私たちは自由を謳歌していたかのように感じられます。このコロナ禍で、好きなように外出できず、外食や人と会うことが難しくなり、身体的な自由を奪われることになりました。不自由な生活を強いられる時、私たちの心には様々な反応がありました。イライラ、モヤモヤ、ブルブル、シクシク。経験したことのない焦燥感、無力感、絶望感、孤独感。

自分にとって何が本当に大切なのか。
今、自分が本当にやるべきことは何なのか。
今までの当たり前の日常は何だったのか。
幸せとはなんなのか。

本質的な人生の問いと向き合う方も多かったのではないでしょうか。

今やテクノロジーの目覚ましい発達で、私たちの暮らしは大きく変わりました。wifi、5G、IoT、いつでもどこにいても、情報にも人にもモノにも繋がれるようになりました。簡単に繋がれる世の中は、「便利で豊かな世の中」と表現され、私たちは多くの恩恵を受けています。このコロナ禍でもオンラインで仕事に取り組んだり仲間とのオンライン飲みを楽しんだ方がほとんどでしょう。

でも、どこか違う、何かが違う。違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか。その違和感を掘り下げていくと、私には、「便利で豊かな世の中」が幻想に思える時があります。もしかしたら、私たちは「便利で豊かだと思っている世の中」、もしくは「便利で豊かだと思わされている世の中」に生きているのかもしれません。

人間はつながりの中で生かされています。人に簡単に会えなくなった時、実際に会って話して体と心で感じることが、どれだけ安らぎや楽しみをもたらしてくれていたのかに気づかされました。会いたい人に会えない、つらさとつまらなさ。当たり前の日常の中に自分たちの自由と幸せがあるのだと気づかされます。テクノロジーで繋がるのではなくオフラインでのつながり、心のつながりを人間は本能的に求めているのだろうと感じます。それが、先ほどの違和感の正体なのではないかと感じます。

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自分の人生を生きる

当たり前が当たり前でなくなる時、私たちは感謝の念を持ってその過去を見つめます。今、目の前にある当たり前をどのように受け止め、捉えるかは私たち次第、私たちの心の態度次第です。心の中にある色眼鏡を外し、現実を柔軟にありのままに感じ受け入れ、今、この瞬間をしっかりと味わうことが自分の人生を生きるということでしょう。

テクノロジーの利便性、溢れる情報の中で、ますます私たちの心は思い込みや決めつけに囚われ、本来の自分と離ればなれになり、自分自身とのつながりが断たれてしまうことがあります。本来の自分とつながることができなければ、それは誰の人生を生きているのでしょうか。体と心のバランスが崩れれば、神経系、免疫系、内分泌系が乱れ、体に備わっている自然治癒力は弱まり、病気になるリスクも高まってしまいます。

マインドフルネスには、様々な定義や解釈があります。様々なものがあるということは、何もないということに等しく感じられます。もしくは、自分自身でその意味を見出すことができると言えるかもしれません。

私は、マインドフルネスを「つながり」と解釈しております。私たちは、みんなとのつながりのなかで生かされています。みんなとつながるためには、まずは自分自身とつながることが大切です。やや専門的になりますが、人とつながるために必要な共感は、情動の自己認識の上に成り立つものです。自分の情動に心を開ける人ほど、他人の気持ちが理解できることが科学的に確認されています。(※1)今、この瞬間、自分の体にはどんな感覚があるか。

頭では何を考えているか。心では何を感じているか。今この瞬間の自分自身としっかりつながり、自分自身に気づき、自分を受け入れその上で、共感をもってみんなとつながっていく。本来の自分とつながり、相手とつながり、社会とつながっていく。テクノロジーで繋がるのではなく、心でつながる。あなたは今、自分自身とつながっていますか?

私は、どんなにテクノロジーが発達して、AIが進化して技術的特異点(※2)を迎えようとも、きっと人の心を作り出すことはできないだろうと考えています。私は、テクノロジーを否定するつもりはありません。実際に今こうしてパソコンで文章を作成したり、noteを通じてみなさまに発信したり、テクノロジーを利用して生活しています。ただ、テクノロジーに振り回されたり、テクノロジーに支配されてしまうような世の中にはなって欲しくないと願っています。そして、人が人として、人間らしく生きていくには、心でつながることが大切であると感じています。共感し、慈しみ、思いやりを持ち寄ることで、本当の意味で、私たちの暮らしが豊かになっていくのではないでしょうか。

私たちは、子供や配偶者と、恋人やパートナーと、友達や会社の仲間とのつながりを求めます。生まれたての赤ちゃんは未熟で何もできません。食べることも寝ることもおむつを変えることもできません。お母さんとのつながりがあるからこそ、生きることができます。私たちは、生まれてすぐにお母さんとのつながりによる安心、安全を体験します。この幼少期の体験を通じて、生きていく上でつながりが大切であるということが潜在意識の中にしっかりと刻まれていきます。こう考えれば、私たちが、誰かとつながっていたいと感じるのは自然のことですし、生き残っていくための生存本能と捉えられます。あなたは今、誰とつながっていますか?

希望は人とのつながりの中から生まれます。レジリエンス(ストレスによって成長する勇気 ; ※2)は、「苦しんでいるのは自分だけではない」と感じることと、「周りの人を助けること」から生まれます。専門的には、人とのつながりを求める強い欲求は、ストレスに対する自然な反応であるとともに、レジリエンスの源でもあると考えられています。周りの人をいたわる時、私たちの体の生理状態には変化が起こり、希望や勇気の感情を生み出す脳のシステムが活性化することが神経科学で確認されています。愛情ホルモンのオキシトシン、やる気ホルモンのドーパミン、幸せホルモンのセロトニンが分泌され、脳の様々なシステムが活性化し、思いやりが強まり、勇気と希望が湧き、思い切って行動ができるようになります。さらに頭の回転が速くなり、状況認識力が高まり、賢明な対処ができるようになります。(※3)つながるって素晴らしい!

秦野の自然の中に身を置き、知人の畑で大豆や蕎麦の収穫を手伝っていると、世の中のコロナの騒ぎがどこか遠くのことのように感じられる時があります。肉体的な自由が奪われるとしても、精神的な自由はいつも自分の中にあります。このことに気づければ、制限のある日常の中でも心豊かに生きることができるものだと感じます。仲間とのつながりは、私に安心感と充実感をもたらしてくれます。そして、自然とのつながりはいつも私を自然体の私、私の中の自然、本来の自分へと戻してくれます。私にとって2020年は、つながりの大切さを気づかされる1年となりました。

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マインドフルネスで大切なこと

本題からはズレますが、マインドフルネスで何よりも大切なのは実践です。本企画はいろんなマインドフルネスの切り口を知ることができます。私も毎日更新される記事を楽しみに師走を過ごしております。もしも、アドベントカレンダーを読んでマインドフルネスに興味をもたれたら、実践をお勧めします。

マインドフルネスで大切なことは継続的な実践です。実践では、身体にいくつも張り巡らされたセンサーを通じて生じる感覚や呼吸に注意を向けたり、心の中に現れる感情や思考を観察します。マインドフルネスの代表的な実践法である瞑想により、脳に変化が起こります。これは、科学的に根拠のあることで、適切な刺激を与えれば脳は大人になっても成長、発達していくことが多くの研究で確認されています。瞑想の実践が脳に対する適切な刺激であり、脳の機能と構造を変えていきます。このような脳が成長する性質を神経可塑性(※5)と呼びます。この神経可塑性があるからこそ、瞑想が科学の対象とされ、数多くの研究論文が発表されています。

継続的な実践によって脳の機能と構造を変えていくことができ、自分自身への気づきや周囲への気づきが生まれ、現実をありのままに見ることができるようになります。そして、自分自身とつながることができるようになり、相手や社会とのつながりが生まれます。マインドフルネス を実践する人たちが増えれば、心でつながる社会に戻っていくことができると私は信じています。

菜の花

このコラムを先日ご近所さんから聞いた菜の花のお話で締め括ろうと思います。

「菜の花は、寒さを経るから春には丈夫で綺麗な花を咲かせる。だから今から種を撒いて冬を越す必要がある。時期遅れに撒いて温室で育てると病気に弱く綺麗な花を咲かせない。温室育ちの種に花を咲かせるには花が咲くまで温室で育ててやる必要がある。」

今の厳しい現実はきっと綺麗な花を咲かせるため。

あなたがあなたらしい花を咲かせることができますよう。
あなたが本来の自分とつながることができますよう。
私たちが心でつながる社会で安心して暮らすことができますよう。

来春、青空の下に広がる満開の菜の花を楽しみにしつつ。

2020年12月11日 伊藤穣 拝

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注釈
(※1)EQこころの知能指数(ダニエル・ゴールマン)
(※2)技術的特異点とは、未来学上の概念であり、人工知能(AI)自身の「自己フィードバックで改良、高度化した技術や知能」が、「人類に代わって文明の進歩の主役」になる時点の事である。2045年ごろの到来が有力説。(ウィキペディア)
(※3)シカゴ大学サルバトール・マッディ教授の定義
(※4)The Upside of Stress(スタンフォー大学 健康心理学者 ケリー・マクゴニガル)
(※5)マインドフルネスプロジェクトのコラム「神経可塑性

■プロフィール

伊藤穣
(いとう みのる)
慶應義塾大学商学部卒業。20年近く一部上場企業で財務部門の管理職として会社員をしておりましたが、幼少期から患っていたアトピーが悪化し体調を壊したことをきっかけに、安定した生活を手放し「自分らしく」生きることを選択し、現在は拠点を秦野に移しにスローライフを楽しんでおります。10年以上実践していた自然の中の瞑想経験をベースに、マインドフルネスの実践を通じて、生きる意味や働く意味を自問自答し、幸せが自分の中にあることに気付き、自分の経験を伝えていくことが自分のミッションであることを悟りました。欧米企業の導入事例を調査した結果、日本企業の健康経営、生産性向上、組織活性化、経営力強化に対してマインドフルネスの可能性と価値を見出し、マインドフルネスプロジェクトを展開しております。企業向けにリーダーシップやエンゲージメント、ストレスマネジメントの研修を提供しております。経営者向けのエグゼクティブコーチとしても活動しております。趣味は、瞑想、自然の中の散歩、生け花です。

(資格)
サーチ・インサイド・ユアセルフ国際認定講師、米国NTI認定ホリスティック栄養コンサルタント、米国フィトメディックラボ認定 酵素・栄養セラピスト、米国Elevays社認定エキスパートヘルスコーチ、一般社団法人日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)

■お知らせ

【企業研修】 マインドフルネスプロジェクト公式サイト

マインドフルネスプロジェクト人材開発・組織開発の企業研修「リーダーシップ」「エンゲージメント」「ストレスマネジメント」mindfulness-project.jp

【YouTube】 月曜〜金曜@7時10分配信

マインドフルネスプロジェクトマインドフルネスプロジェクト主宰 伊藤穣 ・サーチ・インサイド・ユアセルフ国際認定講師(SIY, USA) ・米国NTIwww.youtube.com

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