子育て中は「仕事・家事との両立」などの忙しさもあり、ついイライラが抑えきれなくなることがありますよね。
イライラすることでエネルギーを消耗する日々は心身ともに疲弊していきますし、何より親自身を責めてしまう理由にもなりかねません。
改めまして、こんにちは。マインドフルネストレーナー、ライフコーチのワカナです。
この連載では、私自身も二児の母であり、子育てママのコーチングを数多く行ってきた経験から、マインドフルネスを活かした子育てについてお伝えしていきます。
さて今回は、冒頭にあった「子育てのイライラが止まらない…」というお悩みについて。
今回は、子どもに対してイライラしてしまう理由を一緒に考えていきながら、今日から取り組める「マインドフルな対処法」も併せてご紹介したいと思います。
イライラする原因って何だろう?
子どもに対してイライラする理由は様々ですが、今までお会いしたママの意見をまとめてみると、
(子どもが)
・自分の期待に応えてくれない
・親の持つ「○○すべき」というフレームから外れた言動をしている
(親が)
・自分時間を持てない
・睡眠不足など心身の疲れ
というようなことが挙げられます。これを一言で表すなら、
「親の思い通りにならない苛立ち」
ということになりますね。子どもと自分は違う人間だと分かっているのに、我が子を「分身」のように捉えてしまい、ついコントロールしたくなったり。また、子どもへの過干渉により親自身が疲弊するなど、自己犠牲感を伴う子育てをしていることも少なくありません。
ここからは、まず「怒り」そのものについて深堀りし、怒りの感情についての理解を深めていきたいと思います。
怒りは「二次感情」
アドラー心理学では、怒りを「二次感情(一次感情により生まれた感情)」と呼び、その根本には”悲しみ”や”不安”などの「一次感情(本当に感じている感情)」があると言われています。
【例】
・子どもが宿題をやらない
一次感情→このままでは将来が”不安”
二次感情→怒り
・自分時間が持てない
一次感情→大切にされていない自分は”可哀そう”
二次感情→怒り
いかかでしょうか?
こうして考えてみると、親の怒りにも理由があり、自分が抱えている一次感情を紐解くことでイライラの本当の理由が見えてきます。そんな一次感情は、親自身、無自覚なケースが多いのも特徴です。
親の存在証明としての怒り
また、怒りを親自身の存在証明として使っていることもあるような気がしています。
「やっぱりママの方が正しいよね?」
「だから、言った通りにすればよかったのに」
そう自分の正しさを振りかざして子どもの上に立ち、子どもをコントロールして自分の存在を認めさせたい欲求から、怒りを振りまいていることも…なんだか「恐怖政治」のようですが、私にもそんな時期がありました。
子どもの失敗を自分の失敗に重ねてしまう場合なども、自分の評価が下がるような不安を感じてイライラすることがあります。これらも、やはり無自覚な場合がほとんどです。
このような様々な背景を踏まえながら怒りの感情に寄り添い、子どもに対してイライラする回数を少しでも減らすためには、何ができるのでしょうか?
ネガティビティ・バイアス
まずここで知っておきたいのは、私たちはポジティブよりネガティブに意識が向かう脳の性質を持っているということです。
自分に優しさや思いやりを向ける「セルフコンパッション」の学びの中で、臨床心理士の岸本早苗先生がこのようなことを話されていました。
ポジティブな出来事はすぐ忘れてしまう一方で、私たちは脅威から生き残るため、「問題あること」のほうに、よりフォーカスするようにできています。~中略~神経心理学者のリック・ハンソン博士のたとえ話があります。「ネガティブな経験は、マジックテープのようにこびりついてなかなか取れないが、ポジティブな経験は、テフロン加工のようにくっつきにくく、簡単につるんと取れる」
「自分を思いやるレッスン」岸本早苗(著)
つまり、そもそも私たちはネガティビティ・バイアスを持っているため、相手の良いところより悪いところに注目してしまい、ネガティブな感情である怒りを抱きやすいのだと思われます。子どもの良いところより悪いところが目につき、反射的にイライラしてしまうということです。
そんな脳の癖を知った上で怒りの反応を抑えるためには、イライラに備える「事前準備」が大切になってきます。
イライラしているときは、マインドレス
イライラしている瞬間に、イライラに気づいて手放す…これはかなり難しいスキルです。怒りの渦に巻き込まれている間は、怒り自体に気が付けないことも少なくないのです。
イライラしていることを自覚して、それを俯瞰できる状態になると、イライラは手放せるとも言われています。
だからこそ、普段から自分の状態を客観視する「気づきの力」を培っておくことが重要に。ここは、マインドフルネス瞑想が得意とするところです。
また、マインドフルネス瞑想のトレーニングを続けていくと、イライラに気づいた瞬間、呼吸に意識を向けるよう自分自身に言い聞かせることができ、ゆっくりと深呼吸しながら落ち着きを取り戻すことが可能になります。
感情コントロールにも、マインドフルネス瞑想をぜひ活用してみてください。
怒りの「一次感情」を癒す
先程、怒りの「一次感情」には、自分自身の無自覚でネガティブな感情が含まれるとお伝えしました。自分に思いやりや優しさを向けていくセルフコンパッションのトレーニングを重ねることで、そんな自分自身を丸ごと受け入れられるように少しずつ変化します。すると、その痛みを癒すことにもつながっていくのです。
まずは、簡単な言葉(ラビング・カインドネスの言葉)を日常に取り入れてみることからはじめてみましょう。以下の言葉を、1日に1度でもいいので心の中でゆっくりと唱えてみてください。
私がありのままの自分に価値があると知っていますように。
身体や心が安全でありますように。
私がひとりぼっちではない、誰かとつながっていると気づいていますように。
「自分を思いやるレッスン」岸本早苗(著)
自分自身を大切にできるようになると、自分に対するイライラが減り、子どもに対してのイライラも抱きにくくなります。
イライラと、上手に付き合おう!
私たち人間が生きていく上で、イライラの感情を全てなくすことは難しいですし、体調の変化などコントロールできない理由によるストレスもありますよね。
もし、子どもにイライラをぶつけてしまったときは、その日のうちに理由を添えて謝るなど、子どもの自尊心を奪わない関りはとても大切です。
イライラした時は、好きなアロマの香りやゆったりとした音楽に包まれるなど、自分なりの対処法もうまく取り入れながら、子育ての時間をより笑顔で楽しむことができるよう工夫していきましょう。
文*ワカナ
(マインドフルネストレーナー/ライフコーチ/Mindful.jp編集部)
Twitter:@wacanaoda