「マインドフルネスを続けると何が変化するの?」
「どのぐらいの頻度でやったほうが良いの?」
「長く続けると良いことあるの?」
という疑問をお持ちの方もいらっしゃるはず。
今回は、続けた人が実際どう感じているか、”マインドフルネスプロジェクト“が独自に調査した結果を発表したコラム「“マインドフルネスの効果”に関する調査報告 ~週4回以上、6ヶ月以上でより顕著に変化~ 変化を感じた上位3項目は『生きがい』『自己受容』『楽観性』」をもとにお届けします。
「目覚めのマインドフルネス」とは?
「目覚めのマインドフルネス」はマインドフルネスプロジェクトが主催する、マインドフルネス実践会です。コロナ禍でストレスレベルが高まる人が増えた状況を鑑みて、2020年8月より1年4ヶ月間、平日毎朝20分間、オンラインで無料提供されていました。
参加者は延べ約770名、毎日15名程の方が参加されています。今ではなくてはならない実践の場になっているようですね。
※2022年2月現在、「目覚めのマインドフルネス」は「Compassion for the Earth」に進化しています。
◆内容
・2020年8月〜2021年12月 月曜日〜金曜日、毎日20分間(午前7時〜7時20分)
・ガイド瞑想(集中瞑想、観察瞑想、ボディスキャン、セルフコンパッション、コンパッション等)
・ガイドは1人(マインドフルネスプロジェクト伊藤穣)
・テーマのお話
参加者に向けてアンケートで生の声を収集
中には1年以上継続されていたり、週5日参加されている方もいらっしゃるそうです。マインドフルネスを継続することでどんな効果があったか、参加者の「主観」を元に2021年12月にアンケート調査されました。
◆人数
・アンケート回答者は19名
・アンケート有効回答数は15名(3名は調査時点で不参加、1名は全項目に5をつけ異常値と判断し除外)
“マインドフルネスの効果”に関する調査報告より
参加者は集中力、思考の観察(自身の思考への気づき)、感情の観察(自身の感情への気づき)、感情マネジメント、ストレスマネジメント、自己受容、コンパッション、コミュニケーション、生きがい、楽観性、優先順位、睡眠の12項目について、自身の主観での変化を5段階評価で答えるアンケートとなっています。
◆アンケート項目
1.(集中力)参加前に比べて、注意が逸れた時に気づき現在に注意を戻すことができる
2.(思考の観察)参加前に比べて、自分の思考に気づくようになった
3.(感情の観察)参加前に比べて、自分の感情に気づくようになった
4.(感情マネジメント)参加前に比べて、衝動的に反応する前に立ち止まれるようになった
5.(ストレスマネジメント)参加前に比べて、ストレスな状態の時に自分自身を意図的に落ち着かせることができるようになった
6.(自己受容)参加前に比べて、自己批判が減り、自分のことを受け入れられるようになった
7.(コンパッション)参加前に比べて、家族や同僚が弱っている時、手伝ったり助けたりしようとするようになった
8.(コミュニケーション)参加前に比べて、他人と関わる時、相手の感情に気づいていると感じるようになった
9 .(生きがい)参加前に比べて、有意義な人生を送っていると感じるようになった
10.(楽観性)参加前に比べて、肯定的な感情経験をするようになった
11.(優先順位)参加前に比べて、最も重要なことの優先順位をつけることができるようになった
12.(睡眠)参加前に比べて、睡眠の質が改善した
“マインドフルネスの効果”に関する調査報告より
アンケート結果から見えてくるもの
①マインドフルネスを続けて変化した項目とは・・・?
さて、気になるアンケート結果はこちら・・・!
1位「生きがい」
2位「自己受容」
3位「楽観性」
4位「思考の観察」
5位「感情の観察」
最下位「睡眠」
マインドフルネスは「集中力を高めたい」「ストレスをなんとかしたい」、という理由で興味を持たれる方が多い印象です。マインドフルネスプロジェクトでも、そういった目的を持って参加された方も多くいらっしゃることと推測します。
そんな中で、「集中力」や「ストレスマネジメント」ではなく、「生きがい」という、上位概念が一位になったのは、非常に興味深いところです。
マインドフルネスプロジェクトでは、このように考察しています。
マインドフルネスの実践が自己認識を深め、自分にとって大切なことに気づいたり、生きる意味や目的が明らかになり、有意義な人生を送っていると感じられるようになった結果と考えられます。テーマトークでは、書籍「夜と霧」を取り上げたり、生きがいに関わる問いかけや自分にとって大切なことに関わる問いかけを繰り返し行ったことが、自己認識を深めることにつながったと考えられます。
たとえ、集中力が散漫でも、ストレスをうまく解消できなかったとしても、「有意義な人生を送っている」と感じられていれば、それで良いんじゃないか、とも思える、良い意味で意外な結果と言えます。
また、会の中でセルフコンパッションの実践をすることで、「自己受容」の項目が上位に入ったのではないか、と考察されています。自己受容感は生まれ育った環境や、その人が元々持っている性格に左右されるのではと思われがちです。実際そういった側面もあるでしょう。このアンケートでは、自己受容感は自身のトレーニングで高められる可能性がある、という希望を持てる結果となっています。
そして、マインドフルネスの実践と合わせて主催者から「テーマトーク」があったことも結果に反映されているようです。例えば、「アンコンシャスバイアス」「脳の傾向としてネガティビティバイアスがあること」などのインプット、書籍「夜と霧」をもちいた対話などです。
こういった、参加者の日常や人生と結びつけるためのトークと、集中瞑想や観察瞑想、ボディスキャンなど、様々な方法でのマインドフルネスの実践がセットとなっていたことが、効果的に働いたと思われます。
全ランキング結果はこちら。
ちなみに、
睡眠が最下位なのは、朝行っているためと考えられます。
“マインドフルネスの効果”に関する調査報告より
とのことです。睡眠の質を上げたいのなら、寝る前に実践することをオススメします。
②実践の頻度が影響するのは・・・?
参加者の参加頻度は週1の方もいれば、週5の方も。マインドフルネスの実践の頻度は、どんな項目に影響を与えるのでしょうか?
両者の差が大きいのは、睡眠(Δ=0.89)、感情マネジメント(Δ=0.72)、ストレスマネジメント(Δ=0.67)、の項目となっています。
“マインドフルネスの効果”に関する調査報告より
「寝溜め」のように、「マインドフルネス溜め」ができない項目がこれら、ということでしょうか。
逆に言うと、睡眠の質を上げたい、ストレスを溜めないようにしたい、という方はマインドフルネスの頻度を上げることを意識しても良いかもしれませんね。
③やっぱり、長く続けると良いの・・・?
では、参加期間はどう影響しているのでしょうか?
12項目中10項目において、7ヶ月以上参加している人は、そうでない人に比べてより大きく変化を感じている結果となりました。両者の差が大きいのは、睡眠(Δ=0.73)、集中力(Δ=0.70)、感情マネジメント(Δ=0.68)、コミュニケーション(Δ=0.68)の項目となっています。
“マインドフルネスの効果”に関する調査報告より
おお!ここで、期待していた「集中力」が入ってきましたね。実は筆者も、マインドフルネスを実践して5年経った今、やっと「集中力が上がるってこういうことか」と実感してきたところです。納得の結果です。
また、「コミュニケーション」は日常での反復が多いからこそ、一朝一夕での変化は難しいのかもしれません。しかし、マインドフルネスの実践で感情や思考に気づけるようになり、次第に自己完結ではない対人の「コミュニケーション」という応用範囲まで影響を及ぼせたのでしょう。
あなたは何が変化しましたか?
さて、いかがだったでしょうか?
「マインドフルネスの壁は続けること」という声をよく聞きます。この調査結果で、またやる気が湧いてきた!と思っていただけていると嬉しいです。
マインドフルネスの実践中は「評価・判断をしないこと」が大切になってきます。しかし、定期的に立ち止まって、「自分の場合はどう変化したかな?」と上記のアンケート項目を見て振り返ってみてはいかがでしょう。
継続の励みになってくれるかもしれません。
(文:あやぱん(松元絢))
マインドフルネスプロジェクトについて
■ マインドフルネスプロジェクト( https://mindfulness-project.jp )
「心でつながる社会」というビジョンを掲げ、科学的に有効性が確認されているマインドフルネスやエモーショナル・インテリジェンス(EI)の研修プログラムを提供している。リーダーシップやエンゲージメント、ストレスマネジメントなどの組織開発、人材育成プログラムを展開。
■「Compassion for the Earth」
2022年1月より、目覚めのマインドフルネスは「Compassion for the Earth」に生まれ変わりました。「Compassion for the Earth」はチャリティイベントで、「瞑想をすることが社会貢献になる」試みであり、マインドフルネスとコンパッションの実践の場です。