マインドフルネスで「味の着地」を決める-榛地春奈-

この記事は、12/1〜25まで、毎日1人ずつマインドフルネスを実践している方が「私の日常にあるマインドフルネス」をテーマにリレー形式で綴る、マインドフルネス・アドベントカレンダー2021の記事です。
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今回は「日常にあるマインドフルネス」がテーマということで、私の趣味である料理について書きたいと思う。

私は美味しいご飯を食べることと同じく料理が好きだ。マインドフルネスに料理をするようになって、ここ数年で改めて料理が好きになった。

もくじ

きっかけは”節約”

実家でぬくぬくと生活していた私が、料理を始めたのは東京に転勤になった8年前から。それまで台所に立つことが殆ど無かったが、『毎日外食は飽きるしお金かかるよなぁ。』と思い自炊を始めた。

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▲一人暮らし初期のご飯。色味が少なく地味。

自炊を決意したものの、疲れ切った仕事終わりに毎日料理する余裕が無かったので、週末に1週間分の食べたいものを数種類作り置き、組み合わせを変えて食べる生活をしていた。

最初は切り物に時間がかかったり、作り終えると台所がとてつもなく汚れたりしていたが、作る回数を増すごとに要領を得て、徐々にレパートリーが増えていくのも楽しかった。

しかし5年も経つと料理が週末の「作業」となってやりたい気持ちがやらねば、という義務感に変わっていった。

憧れの先生にオンラインで習う

本部への部署異動とここ数年の世の中の変化で私は外回りから出社が週1の在宅勤務メインになった。在宅に慣れるとランチをしにわざわざ出かける気にならず、そうなると昼食も必然的に自炊になり、ますます料理への負担が増えていった。

そんな時にshioriさんのオンライン料理教室の存在を知った。

L’atelier de SHIORI Online L’atelier de SHIORI Onlineonline.atelier-shiori.com

shioriさんは私が人生で初めて買った料理本「作ってあげたい彼ごはん」の著者で、それまで出版されていた料理本のイメージを刷新した。主婦向けの渋い献立帳(個人的な見解)を10代から20代くらいの女性が好むお洒落なものに変えるべく、自ら出版社に企画書を持ち込み「彼ごはん」を出版したパイオニアだ。
そんなshioriさんは代官山にアトリエを持ち生徒達に直接料理を教えていた。
東京に転勤になってすぐ、その料理教室に申し込もうと試みたが、生徒募集のたびに瞬時に埋まってしまい、入会を諦めていたところだった。

こんな過去があった私は迷わずオンラインレッスンに申し込んだ。

shioriさんのレッスンはインスタグラムの有料アカウントを使いIGTVで2時間ほどかけてレシピ3、4品を作る。材料の切り方、火の強さ、時間の経過ごとの食材の様子など、くまなく見せてくれる。またレッスンの合間に旬の食材の見分け方や代替する場合の食材、調味料の役割など手書きのスケッチブックを使い、熱量高く嬉しそうに伝えてくれる。見ているこちらも楽しくなる。

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▲魚を美味しく食べるレシピの紹介。お手製のスケッチブックで説明してくれる。

「味見」と「煮詰め」で味を着地させる

shioriさんは料理の味を完成させることを「味の着地」と表現する。びしっとぶれずに着地させるためには味見と煮詰めが重要だと学んだ。

言うまでもなく料理に味見は欠かせないが、これがかなりマインドフルネスだと感じる。塩をほんのひとつまみ入れる前と後で味が全然違う、というかマインドフルネスに何度も味わうと違いが分かるようになってきた。

我流で料理をしていた時も味見はしていたが、今よりも回数が少なく、味見のタイミングも仕上げ直前に微調整のために行うだけだった。

レッスンでは合わせ調味料を味見、煮込み料理の途中で味見、調味料を順番に入れて都度味見・・・とにかく回数が多い。指示通りに味見をしていると調味料を入れる前と後の味の変化だけでなく、同じレシピを何度も作ったときの味の差が減った(ように感じる)。

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▲脇役の煮卵も綺麗に仕上がって嬉しかった角煮。

おいしく着地を決めるためには「煮詰め」も重要。目の前の食材に火が通っていく様子や煮汁の減り具合、ツヤ感が出るタイミングなどを見逃さない事が肝になる。これもレッスンでshioriさんが細かく言語化し動画で様子を見せてくれるのを参考に、食材が変化する様子を観察すると段々とコツが掴めてきた。

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▲魚はさっと煮て、取り出してから煮汁を詰めるとおいしく仕上がる

食材に向き合うと愛着も湧いてくる。

今ここ、に集中しながら食材に向き合うと愛着も湧いてくる。
今日のニンジンは鮮やかな濃いオレンジ色でポタージュに良さそう、この椎茸はぷっくりと肉厚で美味しそうだから切らずにホイル焼きにしようかな?など目で見て、手で触れて様子を確かめる。

愛着のある食材が美味しいご飯になった時の満足度はとても高い。ロールキャベツがとろっと柔らかくジューシーに仕上がった時や、グラタンのホワイトソースがダマなく滑らかに仕上がった時、台所でにんまりしているのはここだけの話。

料理教室に通い(視聴)始めマインドフルネスに料理をすることを知ってから、料理の楽しさを思い出せた。体が疲れている時こそおいしいお味噌汁が食べたい!と思って昆布と鰹節で出汁を取り、香りに癒されている。

そんな自分をメタ認知して『私ってほんまに料理好きやなぁ』と愛おしく感じる。

さて、今日は何作ろかな?

■プロフィール

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榛地春奈(しんちはるな)
1986年生まれ。大阪府出身。金融業界で営業を12年行い現在は本部で若手社員向けに研修業務などを行う。
他人に褒められることが苦手で、自分自身のことが好きではなかったが、あやぱん編集長との出会いからマインドフルネスを知ることで自分自身に興味が湧き、毎日頑張る自分を応援できるようになる。
趣味は自分が食べたいものを料理すること、ラジオを聴くこと。

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