怒っている人への対応は、多くの人にとって大きなストレス源です。
ビジネスシーンだけでなく、夫婦・親子など日常のコミュニケーションでも避けて通れません。
この記事では、レセプショニストとして多くの“怒りと向き合ってきた”橋本真里子さんの著書
『感情の作法──イラッとしてもいい、バレなければ。』 の第4章をベースに、
マインドフルネスの視点も交えながら「怒っている人への対処法」を解説します。
実践的で再現性が高い内容ですので、明日からすぐに使えるはずです。
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著者と書籍紹介:『感情の作法』

◆ 著者:橋本真里子さんとは
橋本さんは、受付のプロフェッショナルである「レセプショニスト」の第一人者。
多くのビジネスパーソンを相手に、時に理不尽なクレームや怒りに日々直面しながらも、
冷静かつ感じのよい対応が求められる現場を経験してきた方です。
◆ 理論ではなく、実践知。
マインドフルネスや心理学の“理論”ではなく、
「本当に怒っている人を前にどう振る舞うか」 という“実践知”で書かれているのが特徴。
だからこそ、職場にも、家庭にも、そのまま使えます。
怒っている人の対処法|まず知っておくべき脳と心理のメカニズム
では、怒っている人にどう対処していったら良いかの対処法の前に、押さえておくべきポイントをお伝えします。
それは、売り言葉に買い言葉はダメ、絶対。ということ。
怒っている人に、喧嘩を買うような対応をしてはいけません。
これは何も、あなたに大人になれ、と言っているわけではなく、科学的に見て良い対処法ではないからです。
売り言葉に乗ると脳が自動で“ヒートアップ”する
人は、相手が怒っていると 共鳴 しやすく、脳の扁桃体が反応してこちらも怒りモードに入りやすくなります。
- 舐められたくない
- 負けた気がして嫌
- 自分も正しさを主張したくなる
これは脳の自然な反応ですが、乗ってしまうと何も得をしません。
周囲からは「感情的な人」と評価が下がり、自分の気分も最悪になるだけ。
さらに著者は、怒りの主張は本音ではなく“別の不満”の表れであることが多いとも指摘します。
つまり、この怒りの波に一緒に乗るのは、本質的な解決にはつながらないのです。
では、どうするのがいいのか、いよいよ対処法に入っていきましょう。
謝るのはNG。まず“本当の原因”を探る
まず、平和主義な方ややってしまいがちなのが、謝ること。
しかし、すぐ謝るのは逆効果になることがあります。
なぜなら、怒りの根本は“別の場所”にあることが多いからです。
そこで役立つ質問がこれ。
「では、私はどうすればいいですか?」
この一言には2つの効果があります。
- 相手の思考が“攻撃”から“要望”に切り替わる
- 怒りの矛先が収まりやすくなる
怒っている本人も、自分が何に怒っているのか明確でないことがよくあります。
その思考整理をやさしく促すイメージです。
“相手の事情もある”というマインドセット
そして、この本では、怒りに直面するときの心構えとして
「これは私を成長させる機会」
「相手には相手の事情がある」
という視点を持つことを勧めています。
マインドフルネス心理学でも、怒りの刺激と反応の間に“スペース”を作ることが推奨されています。
相手の言葉の裏には、
- 不安
- 焦り
- 無力感
- 孤独
などの“別の感情”が潜んでいます。
それを想像するだけで、反応の仕方が変わります。
表情管理はビジネスで最強のスキル
新卒研修などでも、「表情管理」が取り上げられることがあります。
表情は、相手に無用な心配をかけないですとか、コンディションを整えていますよ、というメッセージであるとか、社会人のマナーや基礎スキルとして、必須ですね。
怒っている人にもこのスキルは大切です。
対応するときのポイントは、
・表情を乱さない
・冷静で穏やかな姿勢を保つ
ですが――ただ顔を取り繕うだけでは限界があります。
“腹の中が煮えくり返っている”状態は、結局相手に伝わるからです。
ここで必要なのが メタ認知(自分の内側を客観視する力)。
著書にも出てくる概念で、これはマインドフルネスそのものです。
感情を表に出さないためにできる準備
怒っている相手と向き合う前に、次の2つが重要です。
① 相手への期待値を下げる
「この人はこういう言い方をするタイプかもしれない」と
あらかじめ想定しておくと、ダメージは激減します。
② 自分の“イラッとポイント”を把握する
・どんな言葉に弱いのか
・どんな態度が苦手なのか
その傾向を知っておくだけで、感情の反応がマイルドになります。
これはまさに マインドフルネスの実践で育まれる「メタ認知」からの「自己理解」 の領域です。
家庭でも使える!怒っている人への対処法は“QOL向上スキル
今回紹介した、内容は、ビジネスだけでなく家庭にも応用できます。
- 夫婦げんか
- 子どものかんしゃく
- 親へのイライラ
これらすべてに共通して、
「売り言葉に乗らない」
「本当の原因を探る」
「相手の事情を想像する」
はとても有効ですね。
怒りと向き合う“スマートさ”が求められる時代へ
ここまでの内容をまとめますと、
- 売り言葉に買い言葉は、ダメ、絶対。
- 相手の本質的な願いを知ろうとする、慮ることが大切
- 自分自身がスマートでいるためにも、マインドフルネスで自分の内側に気づく力 が必須
著書『感情の作法』は「実践ですぐ使える感情の扱い方」が詰まった良書ですが、
これを深く活かすためにも、マインドフルネスで“ニュートラルな自分に戻る力”を鍛えることが欠かせません。
日々実践していきましょう。




