マインドフルネス瞑想入門プチ講座-吉田 昌生‐

もくじ

あなたはいま、幸せですか?

国連の関連団体が毎年発表している
「世界幸福度ランキング」によると、2019年の調査では、
世界165カ国中、日本は58位。

日本は、物質的には豊かで便利な国ですが、
引きこもりや自殺者も多く、私たちの幸福度は決して高いとはいえません。

いまの私たちに必要なのは、
外的な充実度を追求することより、
内的な幸福感を高める習慣なのかもしれません。

それを可能にするのが「マインドフルネス瞑想」です。

近年、「マインドフルネス」は世界中で注目され、うつ病などの精神的な疾患を抱えてしまった人たちに対してはもちろん、グーグルやインテルなど、世界的な企業でも研修に取り入れられ、ビジネスパーソンへの研修などでも採用されています。

私は、マインドフルネス瞑想の講師として、
多くの人を指導していますが、半年以上、継続して実践している方からは、

「よく眠れるようになった」
「怒りに振り回されなくなった」
「家族との関係が良くなった」
「幸せを感じることが増えた」

といったような喜びの声をよく頂きます。

なぜマインドフルネスで、
感情を調整できるようになったり、
内的な幸福感が高まったりするのか?

これらは全て、「気づき」(アウェアネス)が高まることで起こります。

「気づく力」は、瞑想によって後天的に鍛えることができます。

自分の内側で感じていることに気づく練習をすることで、無意識の感情や思考との関係性が変わり、自分の心とうまく付き合えるようになります。
自分自身と周囲の人や動物、全体とのつながりを実感できるようになります。

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※石垣島での瞑想リトリート風景

マインドフルネスとは?

この記事では、初心者やこれから始める方に向けて、マインドフルネス瞑想のコツやポイントを紹介していきます。

まずは「マインドフルネス」をご存知ない方のために簡単に解説しますね。

マインドフルネスとは、

わかりやすく噛み砕くと、
「一瞬一瞬の呼吸や身体に意識を向けて気づくこと」

つまり、「マインドフルネス」とは、

・目の前のことに集中している状態
・心がいま・ここにある状態
・アタマが覚醒して気づいている状態

のことを指します。

一方、
マインドフルネスとまったく逆の、
「マインドレスネス(マインドワンダリング)」は、

・目の前のことに集中していない状態
・過去や未来に必要以上に思いをめぐらせている状態
・アタマがぼんやりとして気づいていない状態
 
のことを指します。

近年の研究では、
「私たちは、一日の半分近くの時間をマインドレスネスな状態で過ごしている」といわれています。

たとえば、上司から叱られたことを思い出しては
「あの言い方はないよな!」と怒りを再燃させたり、
「また怒られたらどうしよう……」と無意識に不安になったりすることはありませんか?

これがマインドレスネス(マインドワンダリング)です。
実は、このような無意識の妄想によって、私たちの脳は多くのエネルギーを浪費し、ストレスを感じているのです。

しかも自然に湧いてくる自動思考のほとんどは、
過去の経験、条件付けからパターン化されていて、無意識に考え続けることで、そのパターンが強化されてしまうのです。

瞑想を行なうと、ストレスが消えるのは、ストレスの大きな原因の一つである「妄想」を手放すことができるようになるからです。

ネガティブな無意識の思考パターンに何度も何度も気づくことで、苦しくなる「妄想」や癖、パターンを、手放せるようになります。

やり方はとても簡単です。

「目を閉じて、呼吸の感覚(息を吸うとお腹がふくらみ、息を吐き出すと縮む)に意識を向ける」
 
たった、これだけ。

呼吸の感覚が難しければ、音に集中することでもできます。
自然の音や、音楽の一音一音に集中するのでもかまいません。

スマホを見たり、考え事をしたりしないで、
「呼吸」や「音」だけに100%集中することで、
脳が休息し、ストレスが軽減され、アタマがクリアになります。

どうでしょう?シンプルですよね?

しかし、シンプルですが、これがなかなか難しい。
最初は、いかに自分が無意識に考え事をしているか、驚くかもしれません。

瞑想の目的は、考えないことでも、無になることでもありません。
大事なのは、自分が今何を感じて、何を考えているのかに「気づく」こと。

考えないようにするのではなく、考えと自分を同一化せず、一歩下がったところから観察することがポイントです。

私たちは通常、自動的に湧いてくる「思考」と一体化しているので、
思考に気づいてない状態がデフォルトになっています。

しかし、
「いま、この瞬間、頭の中にどんな思いや考えがありますか?」
そんなふうに自分の頭の中に注意を向けていくとどうでしょう?

自分の思考を客観的に観る視点があることがわかってきます。

これが「気づき」(アウェアネス)です。
無意識の意識化、自覚、メタ認知と言い換えることもできます。

普段は一体化している思考と脱同一化して、今おこった出来事(現象)として観るのが、マインドフルネスの真髄です。
瞑想中は、できるだけ、思考と一体化せず、思考を観ている観察者の視点にとどまるように意識しましょう。

もしも瞑想中に、自動思考に気づいたら、
「~と、自分は思った」とラベリングをしてみましょう。

こうした言葉を心の中でつけ加えるだけで、その思考から距離を取って、手放すことができるようになります。

普段はごっちゃになっている「自分」と、「思考」や「感情」との間にスペースができてくると、自己理解、自己洞察が格段に深まっていきます。
無意識を意識化して気づくことによって、長年の思考癖や性格、さらには自分や世界に対する見方も変わっていきます。

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マインドフルネス瞑想の基本

では最後に、マインドフルネス瞑想の基本を紹介します。

初心者の方は、

・調身(姿勢を整える)
・調息(呼吸を整える)
・調心(心を整える

この三つのポイントを意識して行ってみてください。
より内面に集中して気づきが連続しやすくなります。

【調身〜姿勢を整える〜】

まずは姿勢を整えます。
調身のポイントは、次の二つです。

・骨盤を安定させる
・背筋を伸ばす

胡座でも、椅子に座って行なっても構いません。

大切なのは骨盤が安定していること。
坐骨がしっかりと座面に当たるよう座りましょう。

背筋を伸ばし、胸を軽く開くことで、
呼吸も大きくゆったり行なえるようになります。

骨盤を安定させ、背筋を伸ばすことで、
リラックスして集中した状態で瞑想に取り組むことができるようになります。


【調息〜呼吸を整える】

呼吸は基本的に鼻で行ないます。
鼻呼吸は呼吸の量や湿度調整もされるため、口呼吸よりも優れています。

鼻からゆっくり時間をかけて息を吸い、また鼻からゆっくり吐ききる、これを繰り返し行います。

最初は、ゆっくり吐くことを意識しましょう。
倍の長さで、息をゆっくり吐くことで副交感神経が優位になって、心が安定して、感覚に集中しやすくなります。


【調心〜心を整える〜】

最初は、一つの感覚に集中しましょう。
注意の対象、集中ポイントはどこでも構いません。

例えば、腹部の呼吸の感覚の場合
息を吸うとお腹が膨らみ、息を吐くとお腹がへこみます。

この呼吸に伴う身体感覚、膨らんだり、へこんだりするお腹の感覚に注意を向けていきましょう。

自然な呼吸によるお腹の感覚をただ感じていくだけでOKです。

川を流れる木の葉のように、次から次に思考は湧いてくると思いますが、
呼吸を心の錨のように使って、思考の流れに溺れて流されないように、注意してください。

慣れてきたら、身体全体と呼吸が一つになっているという感覚にまで意識を向けていきましょう。

大切なのは、「いま」を味わうこと。

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以上、マインドフルネスの基本と
マインドフルネス瞑想のやり方を解説しました。

マインドフルネスはいつでも、どこでもできます。
瞑想以外にも様々なやり方があります。

大切なのは、「いま」を味わうこと。
一瞬、一瞬を大切に生き切ることです。

最初は短い時間でも構いません。
「考える」ことを手放して、呼吸や身体の感覚を「感じる」時間を持ちましょう。

仕事や家事で忙しくなったら、どこかを目指して、何かを考え、動き続けるモードから、
何もしないで、ただここに存在するモードに切り替えていきましょう。

普段やっていること、考えていることを一旦脇に置いて、少し立ち止まって、いまこの瞬間に好奇心と優しさを向けてみてください。

当たり前の日常もマインドフルに意識して味わっていくと、それがけっして当たり前ではなく、ありがたいものであると気づきます。

自分の呼吸や周囲の自然、太陽の光や風の匂い、美しい花々や鳥、虫たちを五感で感じていると、自然と心が落ち着いて、本来の穏やかな状態にリセットされます。

これを読んでいるあなたが幸せでありますように。
マインドフルな意識が日常生活の全てに広がっていきますように。


■プロフィール

吉田昌生(よしだ・まさお)
ヨガ・瞑想講師。一般社団法人マインドフルネス瞑想協会代表理事。
​1981年福岡県生まれ。20代で精神的不調和を経験したことをきっかけに、理想的な心と身体のあり方を追求するなかでヨガや瞑想と出会い、以後知識と実践を深める。その後、全国で「マインドフルネス」をべースにしたヨガや瞑想の指導を行なう。2019年からは沖縄県に移住してヨガ・瞑想のオンラインでの講座や、セミナー合宿を開催中。その他、マインドフルネスアプリや大手ヨガスタジオのプログラムの監修なども行なっている。
主な著書に、『1分間瞑想法』『ねるヨガ』『マインドフルネス 怒りが消える瞑想法』『脳パフォーマンスがあがるマインドフルネス瞑想法』など多数。

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最新作は、「感謝の瞑想 30分」

初心者の方でも、専門用語や宗教的な表現を使わずに、マインドフルネスの本質を実感できる瞑想を目指してつくりました。
マインドフルネスの背景にある仏教やヨガ哲学の考え方(「縁起」や「空」、「純粋意識」)を実感できるような内容になっていますのでよければ実践してみてください。

●著書 

深く瞑想する法  最高の「休息」と「気づき」を得るマインドフルネス入門
知的生きかた文庫

今回の記事は、こちらの本をベースに書いています。さらに詳しく知りたい方は、ぜひ手にとってみてください。

短く深く瞑想する法: 最高の「休息」と「気づき」を得るマインドフルネス入門 (知的生きかた文庫)www.amazon.co.jp

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