Mindful Photos

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あれから、13年の月日が流れた。-三宅弘晃-

あれから、13年の月日が流れた。-三宅弘晃-

 初任給で買ったばかりのデジタルカメラを片手に、街灯の点り始めた山下公園を一人歩く。6月の潮風には一足早く夏の気配が混ざり、赤レンガ倉庫が見えてくる頃には首筋がじっとりと汗ばんでいた。  マリンルージュが船の名前だと知ったのは、つい先日のことだ。ハーバービューの部屋にも、ブルーライトバーにも縁がなかった僕にとっては、横浜を舞台にした大人のデートなど憧れ以外の何物でもない。だからこそ、その街の雰囲気に少しでも近づこうと、使い方もおぼつかない新品のカメラを持って横浜に繰り出した

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虹を待つ頃-おざきゆき-

虹を待つ頃-おざきゆき-

雨が降りそうで、降らない。 そんな曖昧な天気と、心がどこかリンクしている。 どうせなら、土砂降りになってくれたらいいのに。 どうせなら、霧すらも濃いような、そんな場所に行けたなら。 でも、晴れだけでは生きられないし 雨も、曇りも、全部があるから豊かさを知っている気もする。 良いわけではないかも知れないけれども、 良いか悪いかなんて、きっと 私にしか分からない。 だからこそ これで“もしかしたら”良いのかもね、なんて 私にそっと小さなご機嫌を渡してあげよう。 お

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花とおしゃべり-わたなべさき

花とおしゃべり-わたなべさき

かわいい花が風に吹かれていた。 花は言葉を話さないけれど、 なんだかとても気持ちよさそう。 「今日は良い天気だね。とっても気持ちよさそう」 カメラを向けると、花が喜んでいるように感じる。 この瞬間を残しておきたくて、 可憐に揺れる花たちに向けてシャッターを切った。 わたなべさき 会社員/フォトグラファー 雨の日にテンションが上がる人。 みんなが本当の想いを生き、心を震わせあう世界をつくりたいと思っています。

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都会の古民家にて、新しきを思う。-三宅弘晃-

都会の古民家にて、新しきを思う。-三宅弘晃-

 縁側に腰掛け、素足を庭に投げ出す。撮影に望む青年実業家の緊張は瞬く間にほぐれ、まるでここが、彼の生家であるかのような錯覚を覚えた。  「古民家で撮影をしてほしい。」  遠山直さんからそんな依頼が舞い込んだのは、4月半ばのことだった。  聞けば古民家を現代風に活用するビジネスの計画のみならず、ゆくゆくは自らもそこに身を置く構想があるらしい。そんな青写真を、現社員のみならず未来の仲間たちに伝えたい。それが、この不思議な依頼の背景だった。  小石川大正住宅・根木邸。築100年

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大人になったら親友は作れない。-三宅弘晃-

大人になったら親友は作れない。-三宅弘晃-

「さよちゃんが帰っちゃうんだよね、広島に」  撮影の依頼を受けたのは、3月上旬のことだった。春は暖かく穏やかなだけでなく、わずかに混ざるビターな香りが胸の奥底をかすめてゆく。依頼を切り出す寂しげな口調に、幾年月も使い古された言葉が頭をよぎった。  そう、3月は別れの季節なのだ。どんなにデジタルが進んでも、離れ行く友人を名残惜しく思う気持ちはきっと変わらない。  大人になったら親友は作れない。そんなこと、一体誰が言ったのだろう。ファインダーごしに繰り広げられる二人の日常は無邪

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ぷしゅぷしゅ。いのちの音がする。-わたなべさき-

ぷしゅぷしゅ。いのちの音がする。-わたなべさき-

金柑が手に入ったので、酵母を育ててみました☺︎ 酵母を育てて3日目。金柑の間から、泡がぷくぷく…と現れ始め、 そして、6日目の今朝。 蓋を開けると、"ぷしゅ、ぱち、ぴち"と、炭酸の弾けるような音。 ぴち…ぱちぱち、ぷく、ぱち… 酵母が生きている音は、耳に心地よくて、なんだか愛おしい。 人知れず植物の表面に生きていて、普段は目に見えない酵母が、 部屋の片隅でしゅわしゅわと懸命に生きているのを感じると、心がくすぐったくなる。 酵母と一緒に過ごす日々は、なんか良いな

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静寂の先に -おざきゆき-

静寂の先に -おざきゆき-

“静けさ”の中に音があることを知った なにもしない どこにも行かない ということは、きっと味方を変えれば なにかしているし ここにいる ということ 見えているものだけではない その先に、どこかに ささやかな “音”はかくれている かたちをもっていないことで 見えてくる豊かさがある おざき ゆき 株式会社CRAZY |CRAZY WEDDING ART director 空間アートディレクター テーマは“感動と、在る日々” 小さな ときめきを切り取っています。

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潮風に立つ男は、別の顔を持つ。-三宅弘晃-

潮風に立つ男は、別の顔を持つ。-三宅弘晃-

 冬も間近に迫った湘南・鵠沼海岸。加藤亮介さんはひとしきり波乗りを終えると、精悍な笑顔を僕に向けた。鍛え上げられた筋肉はオーダーメイドの黒いウエットスーツでぴたりと包み込まれている。その表面を滴り落ちる潮水は西日によって照らされ、その姿はまるで光の輪郭で切り取られているようだった。  僕は、加藤さんが経営する「ななみ整骨院」の取材に訪れていた。湘南に4つの院を構えるななみ整骨院は、地元の方に愛されるだけでなく世界で活躍するようなプロのサーファーが数多く訪れていることも特徴の

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写真を撮るということは、恋をした瞬間をおさめるということに近いのかもしれない-わたなべさき-

写真を撮るということは、恋をした瞬間をおさめるということに近いのかもしれない-わたなべさき-

先日の雨の日、近所のお寺に生えている、椿の前で足を止めた。 雨で木の麓に小さな泉ができ、その泉に浮かぶ鮮やかな椿の花たちは美しくて、「いつまでも見ていたい」と思った。 こんな景色に出会う時、写真を撮りたいという衝動に任せてシャッターを押す。 その衝動を言葉で表すなら、今すぐ花束を買って差し出し、「あなたが好きです」と叫びたい!…そんな感情だったりする。 わたなべさき 会社員/フォトグラファー 雨の日にテンションが上がる人。 みんなが本当の想いを生き、心を震わせあう世界

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記憶の中、今に戻る-おざきゆき-

記憶の中、今に戻る-おざきゆき-

日常の中、記憶を旅することがある。 「いつかの日にみた景色」 「いつかの日に感じた感情」 「行ったことがある」 「新しいことを感じていたい」 匂い、手触り、光、時間、感情のたかぶり… 全てのものが私に訴えかけてくるし 全てのものが私の未来の記憶になる。 目の前の 全部が未来で、全部が、過去。 今は、今でしかないから 少しだけ、多く受け取ってみたいと周りを見渡すと 全てが新しい世界に少しだけ、 変わっていってくれるのかもしれない。 おざき ゆき 株式会社CR

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